Chamber of Secrets-4



フレッドジョージ、名前の三人は今日も各々、この塔で商品開発(爆発を除く)、情報収集、読書と、好きなことに時間を費やす。
名前が読みたかった本命の本は『魔法動物大図鑑-海編T』だったがあの塔にも図書室にも行きつけの店にも海編は『U』『V』しかなくもうとっくに読破しており、代わりに仕方なし読んでいたこの『魔法動物大図鑑-その他編-』だったが、とても目を引く記載があったので最近はその箇所ばかり読んでいた。

"パチン!" ちゃぽん、
"パチン!" ちゃぽん、

本に目を落とし指を鳴らす名前の傍らで、フラスコの水が応えるように飛び跳ねる。読書の間もテストを怠らない。ここじゃしないけどさぁと、フレッドがふと声を掛けるので、名前とジョージが目をやる。

「やっぱり悪戯に花火って不可欠だよな」
「なんで?」

とくに様子を変えないジョージは同感なのだろう、名前だけが言葉を返した。

「花火が絶対要るの?」
「絶対じゃないけど。カッコいいだろ」

意味が分からないという様子に、フレッドも全く同じく、意味が分からないといった様子で返すのは、名前がこのフラスコでテストを始めた理由とそう変わらなかった。

事件はその夜、突然起きる。

それぞれの寮を目指す、グリフィンドール、スリザリン、レイブンクローの生徒らが同時に鉢合わせたのは、集団の輪に居なかったハリー達三人と、無残にも尻尾から吊り下げられたミセス・ノリス。水浸しの廊下に反射する、校舎の壁に記された不気味な血文字だった。

"秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ 心せよ"

「"継承者の敵よ、心せよ"
次はお前らだ。"穢れた血"め」

血文字を読み上げ、自分に目を向けるドラコをハーマイオニーは睨み返した。
校長をはじめ教師陣も駆けつけ一時パニックになったものだが、ハッフルパフの生徒は一連の騒動を翌日知り、名前もフレッドジョージから、通路の端の一角で詳細を聞いた。

「不気味ね…誰がミセス・ノリスにそんなこと」
「ハリー達も相当驚いてたよ、なぁフレッド」
「殺すんじゃなくて石にしたってのまた…」
「石!!!!!?」
「「!?うぉ」」

フレッドの言葉を遮り飛び込んできそうなほどの勢いで名前が大声で聞き返すので、二人は体を縮めて驚いた。
なんだよ!?と戸惑う二人を放って、名前は『魔法動物大図鑑-その他編-』の中身を思い返した。


…――

名前が図書館で棚を見上げていると、ふと隣に足音が近づいた。ハーマイオニーが振り向いた名前に何から言おうか迷い、とりあえず名前のすぐそばの目的の棚に、『ホグワーツの歴史』の本を返却した。
ハグリッドの家で会った以来だったので、視線をうまく合わさず気まずそうだったが、すぐに口を開いた。

「名前、あの、私ロンに聞いて。あなたのこと…」

様子も相まって例の血の話であると名前はすぐに分かった。自分たちを脅すような事件も起きている中何を話そうか、だけど使命感にかられ声を掛けてくれたのだろうか。すると名前はロンに言わせれば兄たちにそっくりな企み顔で、ハーマイオニーを覗き込み小声で返した。

「優秀で気高い血が流れていること?」

趣旨としては真逆のことを言う名前をバッと振り向くハーマイオニーに、悪戯な笑顔を見せる。

「ロンったらかっこいいよね。頭にきてあなたのために杖を向けたんでしょ。そいつのことはやっつけた?」
「!、いいえ…何も」
「本当?わかった…今度、手本を見せようね」

すっと、ハーマイオニーが返却した『ホグワーツの歴史』と取り、じゃ。と笑顔で去っていく。
偏見ではないがハッフルパフ生らしからぬ言葉にハーマイオニーは驚いたものの、中身が面白く思わず笑みをこぼしてしまい、名前の背中を見送る胸中は、少しすかっとしていた。

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