Chamber of Secrets-2



「皆おはよう!」
「「おはようパパ!」」

ハリーは空から車で現れた三人と無事合流し、ロンの家を訪れる頃には朝になっていた。鬼の形相でリビングへ駆け下りたモリーには"あなたはいいのよ"と添えられつつ全員揃ってこっぴどく叱られる。朝食を囲んでいると、アーサーが帰宅。マグルに興味津々のアーサーでも見当のつかないゴム製のアヒルの説明を求められ、ハリーは困ったが、すぐにフレッドの助け舟が出た。

「あれは…… その…」
「父さん、俺たちが名前に聞いといてやるよ」
「あぁそれがいい。ハリー、君も名前という先輩は知っているかな?招待してるんだが私はまだ会ったことがなくてね…。賢い子のようだ、きっと役所の目を気にかけてくれているんだろう」
「まさか。"お勉強で"忙しいだけさ。きっともうとっくにダイアゴン横丁に居るよ、なぁジョージ」
「…だな、フレッド」
「…? …」

ジョージの、フレッドをおちょくるような表情に"なんだよ"と視線を返す。ジョージの表情の真相は"また名前かよ"と相棒に呆れも含めた、面白がる思いからだった。お勉強というのは言うまでもなく、彼女の入学前恒例の、雰囲気を問わない店物・人の物色のことだが、フレッドジョージ以外には、言葉の通りにしか聞こえない。
ハリーが名前と聞いて思い返されるのはこの双子と一緒にいる様子と、クィディッチで懸命に叫んで自分を応援してくれた姿だった。

…――

「授業でペアになった相手が薬草に詳しかったって?名前は幸運の才能もあったんだな」
「読んだことある本に載ってたって手紙くれたの。会ったらお礼言わなきゃ」

三人とも会わなかった期間を埋めるように忙しく話すのは汽車の中でも、大広間への道中も変わらなかった。話す内容の大半は休暇前に名前に託された、二人の開発中悪戯道具の調合に欠かせない、手紙にもしたためた薬草に関するものだった。

「あんなに可愛かった名前が男を騙すようになっちゃったかぁ…」
「男? …誰だよそのペアって」

騙してない!とジョージを軽く押す。ケラケラ笑う二人とは違い、女の子同士のペアだと思い込んでいたフレッドは眉をひそめて名前に問う。

「?  セドリック。隣に居たから」

フレッドを見上げ名前は平然と答えた。気にする素振りも見せず大広間へ入る名前と足を止めてしまったフレッドがあまりに対照的で面白く、ジョージは一人相棒の様子を楽しんだ。

名前がセドリックにお礼を言うのは別日の大広間になったようで、ハッフルパフ席でそれは楽しそうな様子で話す二人が、フレッドジョージからも見える。ジョージが相棒の気を紛らそうと薬草の話かなと、つとめて陽気に声を掛けるが「かもな」とだけ、フレッドは全然面白くなさそうだった。するとふと広間の窓から、フクロウのエロールが、手紙を咥えてやって来た。
皆の注目を浴びながら、エロールはロンの目の前のスナック菓子に不時着する。お菓子をぶちまけ豪快に舞い降りたエロールに、スリザリン席からは笑いが起きた。
名前も視線をセドリックから、グリフィンドールのほうへうつす。
届いたのが吠えメールだというのも、エロールの着地のおかげで広間全体に知れ渡り、皆が唾をのんでロンを見ていた。

" ロナルド・ウィーズリー!!! "
「!!」

口の形に変化した手紙がロンを𠮟りつける声に、周囲の生徒はロンと同様に肩を跳ねさせたが、すぐにロンの怯える顔を面白がり始めた。

" あの車を盗み出すなんて!本当に何という子でしょう!! "
「(車?)」

手紙がロンを𠮟り続けるなか、車の一言でばちりとフレッドジョージと目が合う。動作でだけ名前が聞けば"なんのことだか"と二人、寸分のずれもなく肩をすくめて首を振った。

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