Philosopher’s Stone-9



クリスマスもまだ記憶に新しいころ、グリフィンドールは驚きの150点減点を遂げる。

「75点分も何したの……」
「「!? やってない!!」」

自分たち二人だと若干引き気味で疑われたフレッドジョージが勢いよく名前に言い返す。後にハリー、ロン、ハーマイオニーの三人だと分かったとき、名前は嫌でも絵画との会話を思い返した。

また別の日にはスネイプに何やら問われて凍るこの三人を廊下で見かける。

「「名前? …」」

フレッドジョージが、心配そうにそれを見る名前を呼びかけて覗き込むが、名前の不安は拭えない。


…――

今夜はもう大丈夫だろうと向かった図書館の帰り道、名前は寮を目前に、外のよく見渡せる廊下に佇むダンブルドアと鉢合わせてしまう。

「……こ」
「良い夜じゃな名前、本来わしはハッフルパフに減点を言い渡すべきなのじゃろう。じゃが、…」

ゆっくり誘導される通りに、隣へ歩み寄ると右手をスッと軽く取られる。
ダンブルドアは手相を見るように名前の手を眺めた後、言い聞かせるように視線を合わす。

「確実に知恵を付けてゆく君に免じて今宵はよそう…是非制限のない棚を勧めるがな」
「……」

ほほ笑んで外に目をうつしたダンブルドアに、なんでも見透かされている名前の緊張は増す。きっと指を鳴らして魔法を使う特訓も、いま見通されたというわけだろう。それと緊張の要因は、相手こそとんでもないがもう話してしまおうと、心を決めたせいでもある。
先生、とやっと出した声は緊張で枯れたので、喉を鳴らして改まる。

「先生 私は……、ハリーを案じてて、…」


「彼なら森じゃよ名前。罰を受けておる」
「、ば。  ……えっ?」

緊張も束の間。気の抜けるこたえに思わず名前は声を裏返させ、森のほうへ目を向ける。夜の闇も相まって、普段の景色より何やら霧も濃く、寒気すら感じる。もっとよく見ようと目を凝らすとスッとダンブルドアの手が遮った。
ゆっくりと手を下ろし、名前、とその手は名前の肩に置かれる。

「わしの決断を信じてほしい。名前。…わしのことを」

ハリーのことも。
名前の頭も追いついてやいなかったが、ダンブルドアの言葉を完全に理解するには言葉が足りないように思えた。自分の悩みの種もまた、正しく伝わるには不足してたんじゃないか。
ただダンブルドアに応えうと懸命に頷くと、満足そうに彼は笑みを返した。

夜のホグワーツの廊下で、ダンブルドアと言葉を交わすのはなんだか夢のような、不思議な心地だ。
ゆっくり去るダンブルドアに名前も同じく背を向けるが、思いとどまりもう一度振り返る。

「先生!ぁ… ?」
「おはよう名前」

振り返ったはずがただの寝返りに終わり、瞬きとともにハッフルパフ寮の見慣れた景色に切り替わった。先生!だって と笑う友をしばらく眺めて、夢だったのかと消沈する。

それから間もなくして、賢者の石をめぐる地下室での騒動が学校中に知れ渡り、気になりだしていた一年生三人の様子と合点がいった。どこから聞いたのかフレッドとジョージからさらに詳しい内容も知るが、その中で ハリー達が罰則で森に入ったという点に、名前はとくに驚愕した。

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