Philosopher’s Stone-8



見てらんないから許してあげてと、散々大広間で面白がった女の子たちが呆れて庇うほど、フレッドとジョージはどうやって名前に許してもらおうか来る日も来る日も苦悩した。

大広間、スネイプ監視のもと自習の間、スネイプがすぐ背後で今にも成敗しようと構えているというのに、フレッドの頭が確実に船をこいでいる。その向かいには"やばい!!"の顔のジョージ。名前は片肘をついたまま、席から見えるフレッドの後頭部に向かって、テーブルの下で指を鳴らすと、フレッドの頭が後ろから小さく小突かれた。咄嗟に、起きてますけど?の顔をするのはさすがの、スネイプを見上げるフレッドと、唾をのんで見守るジョージ。スネイプがゆっくり離れ注意がそれると、二人は名前を見た。目が合った名前はにんまりと、二人に小さく拳を見せた。

「「…!」」

久しぶりの感覚が嬉しく笑みが抑えられないまま、二人もつとめて小さく、名前に拳を見せて、自習に戻る。
グリフィンドールは誰も気付いていなかったが、ハッフルパフの女子数名はスネイプに聞き取られないよう、彼らが元通りになってよかったと、目を合わせて笑った。


…――

クリスマスの夜。ハリーが手に入れた透明マントを頭からかぶり、図書室で閲覧禁止の棚へ向かう途中、真っ暗な中に人影を見た。

「!……〜〜〜〜…」

すでに棚を囲った中に居た人影は名前だった。

灯りを下げるのは後にしたことをひどく幸運に感じながら、ハリーは、思わず声を上げそうになった口に手をやりグッと堪え、名前を見る。名前は音も無く、本棚の上あたりを眺めたり、常に周囲を気にかけながら、一冊手に取って中に目を通したり。慣れている様子から、ここに来るのは今夜が初めてではないことがハリーにも見て取れた。
ふと、パッと顔をこちらに向けた名前に、普段なら"やぁ"とでも言うのだが、今回は硬直した。マント越しだから透明な筈だが、視線が交じわるため錯覚してしまう。

名前は微妙な香りの違いを感知したが、スン、と吸う音すらここでは厳禁である。万全を期して名前は寮に帰ることにした。常時音を立てないよう本を棚に戻し、囲いの出口まで歩き、門をくぐって、戸を閉める。ハリーの横を通り過ぎて図書室を後にする間も、周囲への注意は怠らず、うんとも、すんとも、キィとも言わせず、帰ってしまった。
名前の動きは見事で、これから同じく囲いに入るハリーは、お手本が見れてラッキーだったと、深呼吸して意気込んだ。

名前がしばらく歩くと、図書室から雄叫びのようなものが聞こえて思わず振り向いた。閲覧禁止の棚には様々な匂いの本が並ぶ。誰かが間違えたなと呆れると、そばの絵画の令嬢が欠伸をして、近所の絵画の迷惑にならないよう、小さな声で話した。

『こんばんは名前。今夜もよくやるわね』
「こんばんは。誰かがヘマしたみたい…しばらく行けないや。気を付けないと」
『きっと新一年生よ。ここ最近ずーっと調べものしてるの』

どこの誰だ…と名前がしかめていると、貴女も気を付けてと、声がかかる。あんなヘマはしないと答えれば、違うと人差し指で制される。

『今年は一年生にあの子も居るでしょう。もうクリスマスも終わるけど、さぁ何もなく過ごせるわけがあるかしら…』
「……」
『名前ももうおやすみ』

ぴんときた名前の表情を満足そうに見てほほ笑む。おやすみと言い返すと、名前はいつもより足早に寮へ戻った。
歴史ある絵画たちにとっても、生き残った男の子は十分に興味の対象で、当時彼が打ち勝った相手もまた、恐怖の象徴。
だからといってただのふたつ学年が上の自分に何ができるのか。名前には考えてもわからない。

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