Philosopher’s Stone-7



名前の真似、いっきまーす。
ハリぃ〜〜〜、頑張ってぇえぇ〜〜〜〜

「…………」

見てらんなぁ〜〜〜〜いっ


大広間、ハッフルパフの席の片隅で友人たちと談笑していると、その輪に構うことなくフレッドとジョージはドカリ!!と座ってやってきた。初めは困惑した女の子たちもすぐに二人の、似ても似つかない、皮肉100%の名前の真似がツボに入り、今や名前以外みんな、笑いの渦に溺れている。が、名前は見逃さなかった。女の子らはみな、横目で名前を捉え、なんて返すか心待ちにしている。

そんなことは知らず、そっくりだろうと言いたそうに女の子たちと笑う二人を、名前はゴッ・ホン、と、怒りを漂わせるかのように喉を鳴らして、注目させた。手元の『魔法動物大図鑑-空編-』をゆっくり胸に抱く。

「二人に頑張れの"が"の字も言わなくて、ごめんね」

怒るか?と構えた二人は、拍子抜けして一瞬顔を合わせて驚いたが、体制を貫いた。

「…、……はっ。分かればいいんだよ」
「お詫びにね、?一生懸命調べたの…。魔法薬凝固のコツ。うまくいかないって話してたでしょ」
「! 覚えててくれたのか…?」

意地を張るフレッドに、感激するジョージ、両者さきほどふざけたモノマネを見せていた者とは別人のようだった。いつ話したか当人は忘れてしまったほどの、何気なくこぼした悩みを、この女の子は覚えていたなんて。しおらしく、反省するように話す名前を、可愛く、回りまわってこっちが申し訳ないという気持ちすら芽生えていった。

「役に立ちたくて。本当にごめんなさい…」


「「…― ぉ 「って。言おうとしたけど変えます」


俺たちこそと出かかった二人の声を、低くて恐いものに急変した名前の声がピシャリと突っぱねた。表情も同じく、まるでいたいけな子猫から威嚇しこちらを震えさせるライオンに一瞬で変化した。
二人の今の顔はなんなら、教師に悪戯がバレたときより絶望的。息を呑んで名前すら呼べない。女の子たちは待ってましたとウキウキした目でさらに注目する。

「すーっごく難しかったよ〜?魔法薬凝固。せいぜい【二人で】頑張ってね?」
「待っ、待て、悪かったよ名前、今のは」
「やだ私ったら!こっちは応援するなんてごめんなさい。クィディッチも二人のことは毎年心から応援してるけど?伝わらなかったらそりゃあ意味がないよね!」
「ち、違うんだよその、ハリーに嫉妬して」
「契約解消ってことでよろしい?じゃ。」
「「待って!」」

くるんと椅子から立ち広間を後にする名前を、二人は女の子たちをよそにドタバタ立ち上がり追いかけた。商品開発の難関を突破した名前のスキルを逃すのが惜しいのでなく、名前の情報力が惜しいのでもなく、一番まずいかたちで名前をカンカンに怒らせてしまったと、懸命に呼びかけたが、こんなときに限って名前が歩くのがものすごく早く、なかなか追いつかないまま大広間を出る。
悪かった!待って!俺たちが悪かった!足を止めて!名前!名前ったら!


「名前なら何か知ってるかな?ニコラス・フラメルのこと」
「どうだろ。兄貴たち何したんだ……」

怒った名前と必死に追いかけるフレッド、ジョージは、広間の入り口でハリーとロンとすれ違ったことすら気付きもしなかった。

広間に入ると名前がうわてなことなど分かり切っていた女の子たちがクライマックスにいまだ大笑いしていたので、ハリーとロンは不思議そうな目を向けた。

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