Philosopher’s Stone-5



大広間を目指しているといつも通り背後から二人が合流する。ハッフルパフ生の両隣に同じ容姿のグリフィンドール生が並ぶのは、三年も経てば周囲にとっても当たり前になっていた。肘で双子のどっちを好きなのかなんてつついておちょくる輩なんかはおらず、二人の悪戯計画にまたあの子が巻き込まれてるぞなどの噂程度で済むのは、計画の現場を見せない、名前の入室ルールを初めとする様々なカモフラージュの賜物だった。二人がどんなに派手に悪戯をしても、名前が関与しているなんて、周囲にとっては到底結びつかない。

「ロンを当てたご褒美、考えたか名前?昨晩居なかったろ」
「フレッドと探し回ったのに。どこに行ってたんだよ?」
「レディにいろいろ聞くもんじゃないわ」
「レディだってさ」「誰のことだ?」

もう!!と言うように左右を叩くと怒ると分かりきっていた笑い声が返される。名前はふと二人と初めて横に並んだ、一年生の頃の飛行訓練の帰り道を思い返す。もともと長身の二人だが、こんなに見上げないと顔が見えなかったか?手はこんなに大きかったか?
大広間の扉が近付き「お菓子を食べながら商品開発といこう」とフレッドが擦り合わせる両手を眺めるが、すぐに考えるのをやめ、手を振るジョージに振り返して名前は浮かぶカボチャを眺めつつハッフルパフのテーブルへ。座ればすぐに、あの子と誰それ先輩の近況が聞ける。名前は友人が嬉しそうで自分も嬉しくなるので全く苦じゃなかったが

「片手すらかっこいい。大きくて頼もしい素敵な手…」

なんの偶然だと、一瞬強張る。すぐに思い浮かんだ別の人の手を頭の中から振り払って、甘い香りに包まれた大広間でのハロウィンを楽しんだ。

それも一変、慌て辺りは騒然とした。
見たこともないほどに慌てたクィレルが扉を開け放って走りこんで来た。

「トロールが地下室に出たぁー!!」
「、」

お知らせを、と呟き気絶したクィレルが倒れるのを合図にするようにして、生徒は恐怖に叫び怯え慌てふためいた。名前が友人やハッフルパフ生に揉まれる隙間からフレッドジョージに目をやると、二人も同じく揉まれ、扉へ走り出しながら名前に"来いよ!"とジェスチャーを送っている。困惑し"はぁ!?"と返したが、すぐにダンブルドアの大声に遮られた。
水を打ったような静けさのまま、寮に戻るよう指示が出されると、皆それぞれの監督生に続き広間を後にした。
グリフィンドールの列から器用にハッフルパフの列へ後退し、二人が名前のもとへやって来た。フレッドが先ほどと同じ動作を、今度はすぐ隣で見せる。

「見に行こうぜ名前!」
「嫌よ!人を食べる種類だったらどうするの!」
「詳しいなぁ。ちょっと見たいんだろ?なぁフレッド」
「あぁ。気付いたかジョージ?こちらのレディは最近不思議生物の図鑑に夢中だ」
「、。とにかくダメったら!二人も行っちゃだめよ!クィディッチ前にケガも減点も構わないなら別だけど!?」

紳士ぶってこちらを指すフレッドの腕を、照れ隠しに押し戻し、指をさして言い聞かせれば確かに。と簡単に黙った。踵を返してハッフルパフの列に戻る間、名前はなんだか熱くなった頬を抑えつつ、ふと一年生三人から漂ったあの匂いを、"トロール"から連想して思い返した。

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