Philosopher’s Stone-4



「ハリーポッターが?、一年生で?すごい!」

自分の寮のチームのように話す名前がほほえましくて笑ってしまうオリバーは、その両隣にハリーをよろしくとだけ伝えて歩き出した。
フレッドはウキウキしたままジョージを急かした。

「ハリーんとこに行こう!名前はまた今度な。教科書取りに行かなきゃだから」
「ロニーを見られないようにでしょ。また後でね」
「心配いらないよ名前!名前の話はハリーにしておくから〜!」
「しなくていい!!!いい!?何も言わなくていいからね!」

距離があいて行き交う生徒に埋もれないよう手を振る二人に、負けないように名前が声を張り指さして言い聞かせても、彼らはとっくに笑いながら走り出してしまっていた。

名前をよそに生徒の波をかき分ければ並んで歩く一年生の、片方はよく知る赤毛の後ろ姿をとらえた。

「聞いたよハリー!おめでとう」

フレッドが声をかければ、ハリーは見上げて笑顔で応えた。それからはいつもの調子で"血まみれにならなぬよう"だとか"たまに宙で消える"だとか"死人は出てない"とか散々聞かせて、その気がなくとも短時間ですっかりハリーを脅してしまう。
中庭に向かうハリーと別れる間際、追い打ちのようにあっそうだ!と少し遠のいた二人が引き止めると、参り気味のハリーと、このくらい日常で慣れっこなロンが振り返る。

「あの三年生にも気を付けろ」「ロンもだぞ」

見当もつかないハリーと対照的に、聞き覚えのあるロンが今度は顔を強張らせた。
いいな?と目をやって二人は去る。ハリーは彼らとロンを交互に見るがロンは表情を変えないまま応えない。
あどけない一年生二人は、生徒たちに紛れながらフレッドとジョージがくつくつ笑っていたことなど、まったく気づかなかった。


…――

「うわぁ〜!!」
「わっ!…、ごめんなさい」

図書館からの帰り道、こちらに気付いていない一年生三人と階段ですれ違おうとしただけで、まさかそんなに驚くとは思わず名前も続けて声を上げてしまったが、目を丸くして向かい合った一年生に、すぐ驚きは解けた。あ、と笑っても、この一年生と、あとの二人も驚いた表情は変えないままだった。

「……ロン?」
「…!? ひょっとして、"名前"…!?」
「あら?正解」

あの二人と同じ髪色なだけでなんとなく察しはついたが、まさかロンも自分を知っているとは思わず名前は目を丸くした。あとの二人も驚いてロンと名前を交互に見る。

「"名前"…?」
「(今日フレッドとジョージが言ってたろ…!"あの三年生"だ!)」

ロンが友を振り返って小声で話すが、まったく隠せておらず名前には丸聞こえだし、なぜ後ろの二人と対照的にロンだけこんなにビクビクしているのか、名前はすぐに粗方想像はついたが、可愛い後輩のために、この小声には気付かないふりをしようと小さくため息をついた。何を言おうか迷っていると、ふと異臭に鼻を突かれて思わずしかめた。

「! ひどい匂いね… どこへ行ってたの?」
「「「!!」」」

素直な一年生三人は、ギクリと音もしそうな分かりやすい表情を並べる。少女が何か言おうとするのを、名前は汲んで遮った。

「私たちあの……その…」
「グリフィンドールの寮へ帰るとこでしょ?……私が言えることじゃないけど、好奇心は程々に」

安心させようと お口にチャック、コクリ。と頷いて笑って見せれば、一年生たちの表情は少しだが和らぐ。それじゃと、動いていない階段を選んでその場を後にしながら名前は、あの血肉を食べた後の獣のような匂いに埃やクモの巣の匂いも混ざったような異臭の、正体を考えた。
まったく好奇心は程々にとは、閲覧禁止の棚の警備体制のリサーチ帰りである名前には、本当に言えることじゃなかった。


誰にも言わないよ の名前の動作は、立ち入り禁止の三階の帰り道の ハリー、ロン、ハーマイオニーを大層安心させた。三人は寮までの道を急ぎながら言葉を交わす。

「僕たちそんなに匂うのかな…?」
「あなたの知り合いだったのね」
「兄貴たちから気を付けるよう前から言われてたんだよ…恐るべき嗅覚とずる賢さでこっちのことは筒抜けだ、ハッフルパフ寮で、爪も角も羽も牙も隠してるって」
「そんな人に見えた?」

疑うハーマイオニーとハリーは全く同感だったが、でもあの時の顔、と続けるロンに、ここだけは納得した。
思い返される、"お口チャック"をする名前の顔。

「あの三年生にも気を付けろ」「ロンもだぞ」

「フレッドとジョージにそっくりだったな。…」

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