Philosopher’s Stone-3



"パチン!"  "パチン!"

今日も名前はフレッドジョージとともに小さな踊り場に集う。フレッドとジョージは自由に座り、適当に本をぺらぺらめくったり、壁の古びたメモを眺めたり。名前は窓辺に寄りかかり、フラスコに鍋に溜めた水に向かって指を鳴らしていた。
この場所は名前の定めたルールで爆弾の持ち込み禁止、花火の持ち込み禁止、名前に逆らうことは禁止、名前が居ないときは入室禁止だった。
当初来なくなってしまうかと名前は思ったが、そんな心配をよそに二人は名前が居るこの場所の居心地をすっかり気に入り、置かれている物も大切に扱い、ルールを守って居座った。ロンのやつ、とフレッドがふと口にする。


"パチン!"

「あの呪文、汽車でやってなきゃいいけどな」
「へぇ。ロニーはもう呪文を言えるの?」
「あぁ。ネズミを黄色に変える俺特製呪文。教えたときの顔といったら」

"パチン!"

「それ何?名前」

悪戯に笑うフレッドに正しくは『汽車でやってたらいいな』だなと名前が呆れていたところ、隣に腰掛けたジョージが、フラスコを覗き込んで問いかける。

「テストよ。魔法は杖無しで使えるか」
「そりゃいいや。杖代が浮く」

言ってみせるフレッドに笑い、杖は要るだろうとジョージは真っ当なことを言って視線を名前にうつすが、名前はフラスコの水面を睨んでいた。フレッドも歩み寄り輪に加わって、同じくフラスコを眺めて言った。

「最低でも先生達のように使いこなせなきゃだろうな」
「三年生がこなしちゃ噂されちゃうぞ。杖嫌なのか?」
「嫌じゃないけど。できたらカッコいいでしょ」

でも今日のテストはここまで。と手を膝にやって息をつけば彼らも"だってさ"というようにアイコンタクトだけ交わして、「「じゃぁ行くか」」と次の授業へ行くよう三人立ち上がる。名前のイメージでは鳴らした指に合わせて水面が反応してくれる筈だったが、なんでも想像力で解決するというわけではないようで、彼らの反応から魔法使い達の中でも特別に値する技法のようだった。そりゃあ想像力だけで解決すれば、全員ダンブルドア先生級の、偉大な魔法使いになれるだろう。

「次の授業はスネイプ先生か」
「名前も真っすぐ行くだろ?」
「私寮に戻らなきゃ」

「フレッド!ジョージ!」

見上げるフレッドに応えながら階段を下り外に出ると、グリフィンドールのオリバーに呼び止められた。

「名前も。また三人一緒か」
「よう オリバー」
「まさかシーカーのスカウト…?」

オリバーに笑顔を見せていた名前をジョージがわざとらしく親指で指して言ったのを、寮が違うったらと押し戻して見上げればケラケラ笑う。それが見つかったんだとオリバーが割って入ると、三人面白いほど同時にオリバーに注目した。

「グリフィンドールのシーカー?ずっと探してたよね」
「あぁ。ハリー・ポッターが選ばれた」

しかも先生の推薦だとオリバーが続ける間、これも三人面白いほど同時に、驚きの表情に変っていった。

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