Philosopher’s Stone-2



新一年生の組分け。
自分の頃のように天井に夢中になることは三年生にもなれば無くなったので、彼らの弟は当てるまでもなく、このまま見ていれば分かるなと、名前が肘をついて余裕の表情でいたところ、前に座る同じ寮の友人が満面の笑みで振り返った。小さな一年生たちとマクゴナガル先生だった視界が急にその子だけうつす世界になり、思わず強張る。小声ではあるものの喜びがだだ漏れの、聞いて、という声で始まったのは、同じハッフルパフのだれだれさんとかいう上級生の話だった。この子は今すっかりその誰とかさんにお熱で、これは楽しい楽しい恋愛話というわけだった。

「実はさっきお話ししたの!!!」
「ほ、本当! あの先輩と、?」
「えぇ!そしたら彼もね、話してみたかったんだって私とっっっ!!信じられる!?」
「、凄い!両想いね… 痛ッ!?」
「近くで見ても本当に素敵だったわ…!あんな素敵な人ってこの世にいるのね」
「もっと仲良く、なれる、はずだよ。 あなたなら」

本心で言ったのに照れ隠しだろう、二の腕あたりを強めに叩かれてしまったが表情は幸せそのもののまま。名前はどうにか大広間前方へ目をやりたいのだがその子に巧みに塞がれてしまう。本人にその気はなく、この子はただ名前に嬉しい気持ちをぶちまけてしまいたい一心だ。テーブルに肘付いたほうの名前の手を両手で握り更にぶちまけていく。支えを無くした名前がぐらつくほどの力だった。この子本人には、本当にその気はない。

「名前もそう思う!?」
「そうしかなりようがないもの!でもどうして彼が…

"ロナルド・ウィーズリー"

!!! その〜…えぇ……あなたを知ってたんだろ」
「ふふ、気になるよねっ。耳貸して」
「え!?…っ、わ」

彼女の力のこもった手をさらに上から名前がよく聞かせるようにぽんぽんと添える間に確実に彼らの弟であるその名は呼ばれてしまった挙句、グイと引っ張られ視界は完全にシャットダウン。
姿の分からぬロナルド君へ向けられた拍手に紛れて、耳打ちされた。

「フレッドとジョージが協力してくれたの。
名前にこの話するのもね、寮に帰るのは待てないだろうから組分けのタイミングが一番だって」

私語が先生たちにバレにくいでしょ。可愛く笑い、上機嫌そのもので前方へ向きを直した友人に呆気を取られたが、"フレッドとジョージ"と今言ったか?ゆっくりとグリフィンドールのほうを見れば、拍手だけは前方へ送る"してやったり"のよく似た顔が、すでに名前のほうを見ていた。学年とともに力が増したのは、名前のほうだけではなかった。

その後ハリーの名前も呼ばれ、名前の予想は的中。広間はざわついたし、もっとよく見ようと姿勢を正すのは名前のほかにも何人も居た。
グリフィンドールの仲間となったハリーポッターのことも、見そびれてしまったロナルド君のことも、きっと二人から沢山話されるだろうと、名前は気を取り直して、今は食事と、幸せの真っ只中にいる隣の友人の話の続きを楽しんだ。

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