Philosopher’s Stone-1



三年生新学期。相変わらず名前は誰よりも早くダイアゴン横丁での調達を済ませており、それにはもちろん学校で必要な物だけでなく、情報(薄暗い店での世間話、明るい道ですれ違う人の世間話、その他見たもの聞いたもの)の調達だって含まれている。
汽車の席をとるのだって一番乗り。名前に続いて乗る到着済みの生徒は数名で、もうしばらく時間が経ち辺りが一層賑やかになってきた頃、「「名前〜!」」とボックス席の扉からこちらに飛び出しそうなほど二人が元気で現れた。フレッドジョージとの再会を喜びふと窓の外に目をやると、二人と同じ髪色の少女が懸命に手を振っている。連れ添う女性もまた同じ髪色で、名前に気付くと目配せするようにこちらを指さし、同じように笑顔で手を振ってくれた。名前は応えようと、はにかんで頭を下げて、手を振り続ける二人に向き直った。

「ひょっとしてお母さんに、妹?可愛い」
「あぁ、ジニーだよ。来年ホグワーツに来る」
「今年は弟がいるんだ。一年生に」

聞いていた通り兄弟が多いと思っている間、どの一年生が弟か当てたら名前にご褒美だ!赤毛じゃないから気をつけて!肌の色も違うぞ!目の色も!背なんて俺たちよりも高い!家族の誰よりもだ!と相変わらず交互に大盛り上がり。名前は変わらないこの調子が楽しくて笑った。笑顔を返すフレッドの横でジョージがそうだ、と改まる。

「今日は来てないけど父さんにも会ってよ名前。ちょっと話したらもう名前に夢中なんだ」
「なんて話したの……」
「嘘は言ってないさ!マグル製品 不正使用取締局 局長さんだからさ、正しくは名前の住むところに夢中なんだ」
「へぇ。ハリーポッターよりも?」
「「何?」」

おおかたこの二人のお父様にはあることないこと流されてしまったろうと予想してると、二人同時にピタと大人しくなった。名前には区別のつく、悪戯センサーが作動してないときの、純粋にハテナを浮かべるときの二人の表情だ。

「ハリーポッター。知らない?生き残った男の子」
「知らない奴は居ない」
「ハリーポッターがどうしたって?」

「新聞が間違えてなければ今年入学のはずよね。弟君と同じ一年生」
「そうだったのか?」
「名前新聞で読んだの?生き残った男の子、入学おめでとう!いってらっしゃ〜い!って?」
「まさか。新聞って、当時の新聞ね?数えて、そろそろかなって」

古本屋の隅にまとめてあったの。それだけ言って、呑気に窓の外を眺め始めた。目の前のこの子は本当につい最近こちらの世界に足を踏み入れたマグルなのか。二人は定評は持っていたものの改めて名前の情報力に、また、この新学期の再会までにその能力の力が増してるのを確かに察知して、なんとも言えない表情同士で顔を合わせた。魔法戦争の終焉や名前を言ってはいけないあの人のことは、この子の目にどのようにうつっただろう?ハリーポッターが本当に居たとして、この子は何を言い出すだろう?当の名前はなんともないように、窓の外を眺める。フレッドとジョージは、そのハリーが駅で自分たちのすぐ後ろに居たとは、このとき知りもしなかった。

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