Order of the Phoenix-25



隣で見守るルーナに導かれ、そに居るの?と手を宙にかざす。セストラルを感じ取ろうと集中する名前に、ルーナは微笑みかける。

「瞳は白?」
「うん、 名前に撫でられて細めてる」
「大きな翼も?」
「そうだよ。コウモリみたいな翼」
「素敵…。 私を運んでくれる?」

問い掛けた名前から間を置いて、ルーナは"彼嬉しそう、"と伝えてくれる。
セストラルに身を預けるのは、ホグワーツも、夜のロンドンを飛ぶ間も、ひどく幻想的で名前は感激し、空を漂う間だけは、これから対峙する恐怖や、シリウスの安否を案じる心から、解放されたかった。

ハリーに続き、無人の魔法省を駆け、エレベーターへ乗り込む。
神秘部の無機質な色合いと薄気味悪さは、皆の恐怖心を一層強まらせた。

「…ここだ」

皆で恐る恐る進み、やがてあたり一面水晶が高く置かれた棚にやってきた。各々が杖の灯りを掲げ、周囲を見渡す。どの水晶も雲を閉じ込めたように濁り、うごめき、大小様々に、びっしりと並べられている。先ほど歩いた気味の悪い通路のほうがまだよかったというほど、こちらは一層暗く、先も見通せず、不気味だった。

「93、94、……」

ハリーは、苦しむシリウスの映像を見た現場へ急ぐが、そこは特になんの形跡もなく、周囲と異なる点は見当たらなかった。ヴォルデモートの罠であった可能性が一気に高まり、ハリーは立ち尽くす。

「ここのはずだ」
「…ハリー。君の名前が、…」

名前はなるべく皆を見渡せる場所についた。周囲に注意をはらいながら、ネビルの差した水晶を恐る恐る手に取るハリーを、見守る。

― 闇の帝王を破る力を持つ者が現れる… ―
― 両者は互角なれど…その者は帝王の知らぬ力を持つ ―

― 一方が生きる限り ―
― 一方は生きられぬ ―

不気味なトレローニーの声が響き、皆は戸惑いの目を合わす。

「ハリー!」「!」

慌てて呼ぶハーマイオニーの声に振り向き、現れたデスイーターの影にハリーは立ち向かい、名前も後方から身構える。

「シリウスは?」
「まだ区別がつかんか…夢と、現実との」

構えた杖を自身の面に構え、煙のように消えた面から、ルシウス・マルフォイは現れた。ハーマイオニーの懸念通り、シリウスの一件はヴォルデモートがハリーをおびき寄せるために見せた罠だった。

「予言を渡せ」
「手を出せば壊す!」

「ハハハ…!言うじゃない!ちっちゃな、ちっちゃな…ベビー・ポッター」
「ベラトリックス・レストレンジ…!」

ルシウスの背後から現れた影に、ネビルの声に怒りがこもる。

「ネビルかい。ご両親は元気?」
「敵を取る!!」
「っ」

力を込めた杖を構えたネビルに皆が身を強張らせ、ハリーが抑える。ルシウスは落ち着かせようと、両手をゆっくりあげて言い聞かせた。
名前はルシウスの一挙手一投足に、一番後ろから目を見張る。落ち着こうではないかと、ゆったりと語る彼の声にすら、油断を見せない。

「我々は予言さえ手に入ればいい…」
「なぜヴォルデモートが?」
「あのお方の名前を、 お前が、口にするな!!」
「知りたがりなのだ…」

「…― !」

呟くルシウスに頭にきている一瞬で、名前の数歩後ろには別のデスイーターが歩み寄っていた。早急にルーナを庇うように腕を出し、向き直り杖を構える。

「予言を手にできるのは予言に関わる者のみ。運よく手に入れたな」

ネビルや、他の皆も気付くころには、後方のみならず、四方をデスイーターに囲まれていた。

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