Order of the Phoenix-23



夕刻、突如ズカズカとやって来た親衛隊とやらの手により、名前はアンブリッジの部屋へ連れられた。しつこくローブを掴んでくる別寮のそいつが不愉快で、触るな、逃げないから掴むなと、何度も何度も払いながら、名前はドアをくぐった。指を鳴らして逃げてもよかったが、他の団員も掴まってる可能性もあり、下手にアクションは起こさなかった。

連行されたアンブリッジの部屋。予想通り、すでにロンやハーマイオニーも取り押さえられており、ハリーはアンブリッジの目の前の椅子に、腕を縛り付け座らせられている。強まる香りにしかめ逸らした視線が、部屋の隅に山積みになったウィーズリー製品をとらえた。視線をたどったアンブリッジは、名前を見て口をひらく。

「その彼女には重い罰を。ウィーズリーの同業者だそうね」
「……どうしたんです先生?まるで花火に飲み込まれちゃったみたい」
「黙れ!」 「だからっ触らないでよ!」

おちょくるような名前を、背後の親衛隊が気取って押さえつけるが、苛立った名前が再び払いのける。ロンとネビルは人知れず、アンブリッジの焦げを小ばかにした名前に目を見張った。
まぁいいと、アンブリッジはハリーに向き直り視線を合わす。

「ダンブルドアと連絡を?」
「違う」 ―パシン!!!―
「ウソつき」

アンブリッジはハリー回答に、即座に彼の頬を強く叩いた。生徒全員が肩をビクつかせ、目を疑う。

「本っ当に有り得ない…」
「お黙りなさい」
「告発します。絶っ、対に!」
「(名前…)―  「校長。お呼びで?」

見向きもしないアンブリッジに怒りが頂点に達した様子の名前を隣のハーマイオニーが案じた瞬間、まるで名前を引き離すようなタイミングで、スネイプが現れ遮った。ハリーから視線を変えアンブリッジの声が明るくなる。

「スネイプ!ええ、なんとしても答えを聞き出さねば。真実薬は?」
「校長が尋問で使い果たしました。最後はチョウ・チャンに」
「「……! …」」

団員は皆殴られた気分なのと、名前は同時にまるでスネイプが真実を明かしているかのような錯覚に陥った。残念ですなと、去ろうとするスネイプを、ハリーが声を上げて引き止める。

「パッドフットが…!パッドフットが、捕まったんだ。"あれ"の隠し場所で!」
「…? (シリウス…?)」

「パッドフット?なんの話です?」

名前だけがハリーの言葉に目を見張る。ハリーは希望を逃すまいとすがるようにスネイプを見詰めるが、なんともわざとらしくも、見せつけるようにも見える表情で「さっぱり」と、去ってしまった。
アンブリッジも、"結構"と、気を取り直す。語りだしたアンブリッジに、一度ハリーの発言に戸惑った名前もきつい視線を彼女へ向けた。

「魔法省の安全の問題です。こうするしか道はありません。…"磔の呪い"で尋問を」
「違法よ!」
「大臣が知らねば問題ないわ」

今度はハーマイオニーが口をはさむ。隣のロンも、今にもハリーのもとへ急がんと懸命に親衛隊に抗う。アンブリッジは静かに、大臣の写真立てを伏せた。

「知らなくともすべての正しい魔法使いの耳に入れるわ」
「誰が立場もないあなたに耳を貸すの」
「貴女は立場だけ」
「今すぐお前を尋問してもいいのよ!」

杖を向けられても、ひるまない名前の代わりに、後方の親衛隊が顔を覆い縮こまった。アンブリッジはその杖をゆっくりハリーへ向け、歩み寄る。
まさか本当に呪わないだろうとか、まさか喰らったりしないだろうハリー、とか、それぞれの緊張が頂点に達すころ、ハーマイオニーは声を上げた。

「白状して!ハリー!!」

「…! …」

思わず、アンブリッジは振り返る。ダンブルドアの武器の在処を言うんだと、戸惑うロンの隣、ハーマイオニーはどことなく宙を見るようにして、言い放った。

prev | top | next















×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -