Order of the Phoenix-22



歩み寄ったハリーの背後、フレッドジョージも立ち上がり、アンブリッジへ向き直った。意地でもそちらを見ない名前の不機嫌な顔は、隣で涙を浮かべるマイケルにしか見えない。

「前にも言ったでしょう。いけない生徒には罰を」

満足そうに後にするアンブリッジを見届けると、フレッドは前を見据えたまま息を吸い込んだ。

「…… ジョージ。俺たちの未来は学校の外にあるな」
「フレッド。  …全く同感だね」

「……、」

名前の不機嫌顔が違和感を察知する。
とにかく今はと落ち着いたまま、なんだか自分を責める様子のハリーをうかがい、マイケルを寮まで無事送り、名前が不満を爆発させたのは、それからだった。

今は夜で城によく声が響くだとか、そんなことはどうでもいい。

「即実行するってちゃんと話しただろ!?その時がきたら…」
「誰がその日の夜にそれがくると思うの!?」
「怒らないって言ったくせに ―」
「だってこんなの聞いてないも同然でしょう!!」

追いかけては振り返って怒る名前に引っ込み、追いかけては引っ込みを繰り返し、あてもなく名前の足は塔への階段に差し掛かる。

「会えなくなるわけじゃないんだ、平気だろ?」
「嫌よ!!」
「っ、」

数段あがったところで振り返った名前は、とうにぼろぼろに泣いていた。その涙と迷いなく答える名前に、二人も驚きと、苦痛の表情を名前へ返す。

「だって!!せっかく!!…っ、…っ」

前のように戻れたのに。
それは上がる息にかき消され、俯くと何滴も涙は落ちた。別れ方の不満が、この、しかもやっと溝の埋まった大好きなこの二人にまで出てくるなんて、あんまりだ。
面倒とは全く含まれていない、名前にただただ堪えるというようにフレッドは「泣くなよ…」と呟く。去年の溝がようやく埋まり、もとのように接することができる日々が嬉しかったのは、彼らだって同じだった。

「名前、絶対会いに行く。名前が来なくても俺たちが行く!」
「…、…」
「応援してくれるんだろ?」

息の落ち着いてきた名前に言い聞かせれば、それには強く頷く名前が健気で、ジョージは尊ぶような笑みをこぼし名前を見つめる。

「…… 車を盗んででも来て」
「当然」
「絶対よ っ…」
「約束する」

ジョージも、フレッドも、真っすぐに名前を見詰めて答える。再び表情を歪めて名前はジョージの肩を寄せ、フレッドの肩に顔を埋めた。フレッドジョージも、それぞれが強く名前と、相棒の肩を抱きしめる。
彼女と過ごしたもう一つの家での思い出と、すすり泣く彼女の存在を、身に沁みさせるように目を閉じて、強く強く抱き締めた。


…――

翌日、塔の窓辺に背を預け、名前がひりつく瞼を擦りつつ魔法書を眺めていると、遠くの下の階の騒ぎが耳に届いた。花火のようなヒュウヒュウと甲高い音と、バリバリと何かが壊れ割れる音と、生徒の大歓声のようだった。

「…!?」

窓を開けると歓声は大きく届き、彼らの視線をたどると、数多の花火が空に大きく大きく、「W」と描いている。花火の先に小さく見える二人の影に目をこらし、驚きが、ひどい喪失感に変わろうとしたとき、

「! わっ」

上空から名前のもとへ、猛スピードで、オレンジの紙でおられた飛行機が飛び込んだ。抱き取ったそれには、いつも彼らが手にしていたウィーズリー製品の、ミニサイズの包みがくくられており、ロゴのほかに、"サンプル""VIP""門外不出"
など、小さいのにお洒落にあちこちプリントされている。

「…、 はは…」

フレッド、ジョージ。またね。
彼ららしさに名前は思わず、吹き出すように小さく笑い、再び頬を伝った涙を拭った。

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