Order of the Phoenix-20



まだ朝の澄み切った空気の、過ごしなれた小さな塔で、フレッドジョージは今やすっかりお馴染みとなったオレンジの包装をそれぞれ手に、名前に改まった。

「広間や外ではできない話?」
「あぁ。大事な話」
「俺とフレッドの未来の話さ」

真剣な二人に、名前は寛ぐように座ってた姿勢を、思わず正して二人へ向き直る。
二人が意を決したように話しだしたのは、ともに開発に励んできた様々なアイテムの店を持つ、二人の夢のことだった。聞けば彼らの寮の中では、ハーマイオニーのように真面目な生徒は到底理解できないと、反対派もいるそうだったが、名前はもちろん、どの協力をしたときだって二人の夢の実現を祈っていた。

卒業してもたまに協力して!とか、週に何回は店へ来て!とか、そんな陽気な話じゃなさそうなのは、二人の空気からうかがえた。
名前、と先に、ジョージが口をひらいた。

「俺たちは時が来たと思えばすぐに、実行にうつしたいと思っているんだ。たとえそれが、物騒な事件の相次ぐ真っ最中でも、世の中がどんなに暗くても、両親に叱って止められても。俺たちのタイミングを一番に信じたい」
「… そうね」
「、それが卒業の次の日でも、たとえばマグルの世界で起きる事件と同じ日だったとしても、だぞ?」
「賛成よ。 …なんで?」

名前は彼ららしくて素晴らしいし、それが彼らにとっちゃ自然な流れだろうと、なにも問題が見当たらず、二人が何をそんなに伝えたいのか、いつこの構えた身を緩めていいのやら分からなかった。
互いに目を合わせた後、ジョージから恐る恐るきいた。

「…怒らないんだな?」
「、?なんで私が怒るの」

「…不謹慎だって怒るかと」
「、」

ああ、と去年を思い返す。
対抗試合での彼らを"不謹慎"は言い過ぎとは、今でも思わないが、当時からよく知る通り、彼らの"彼らっぷり"は、不謹慎なことも、人の心を軽くしてくれることも、両方ある。
心配や不安が大きかったのと、すれ違いがすぎたことのほうが要因だと話せば、二人の表情もようやく和らいだ。

「私が協力者なんだから、うまくいくに決まってる」

名前の言葉が確実に二人の背中を押す。そうだな、と、お礼を言い、照れを隠すように二人ははにかんだ。


「卒業しても協力してくれるだろ?」
「アルバイトで雇おうか?店の二階に名前の研究室も作るか!図書室も」

一年生からずっと時間を共にした小さなこの塔に、三人の賑やかな声が響く。
二人とこうして心から笑い合えない、去年のような堪える日々は懲り懲りだと、笑い話にできるほど和解したのをあらためて、嬉しく思った。

…――

必要の部屋。ハリーの指導によって、団員の多くは見事に守護霊を顕現させた。犬、馬、ウサギと様々で、名前もハリーの言葉通り集中し、杖を構えた。

「思い出が力になる!幸せな記憶で満たすんだ」
("エクスペクト・パトローナム"!)

「……!」

名前の呪文によって青白い光をまといリュウグウノツカイが現れた。悠々と名前に挨拶するように漂い、頭上を泳いだ。神秘的な姿をほかの皆も笑顔で見上げ名前を祝福する。やがて守護霊は、名前にしたようにフレッドジョージの元を、スイ、と回って、煙のように消えた。見届けたフレッドジョージが、名前を振り返り笑顔を見せる。ホグワーツでの幸せな記憶により顕現させた守護霊が、思い出の張本人たちのもとへいったのが楽しく、ほほえましく、心穏やかに笑みを返した。

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