Order of the Phoenix-19



「… はい、名前です」
「上出来だ」
「ムーディ先生?」
「ああそうだ」

ポストカードを手に取り声を掛けると、まるで電話口で話すように、ムーディの声が応えた。ダンブルドア本人と話すことすら、またこれを電話の写真にすることすらまずかったのかと、名前はもはや少し笑ってしまったが、久しく手紙でなく声のやりとりができたのが、嬉しかったからかもしれない。

「ハリーは無事ですか?」
「あぁ無事さ。いや、…無事だが、残念ながら君が案じる通りだ。ハリーに別の影を感じてるそうだな」
「、」

言葉を詰まらせ、名前は控えめにはいと答える。それから名前の感じていた違和感は、ヴォルデモートの手によるものだという真相が明かされた。名前は目を閉じ、静かに衝撃に耐えた。城でいくらハリーが呼び掛けても応えないダンブルドアにも、若干合点がいく。ダンブルドアは君にも詫びていたと、伝えられた。

「自身の心配も尽きない上に重荷を背負わせてしまっていると」
「"自身の"?…先生、私自分の魔法も、ハリーを守ることも、重荷になんて感じていませんよ」

確かに少し窮屈ではあるがと、部屋を少し見渡す。不都合でも、家族に会えない寂しさがあっても、こうして保護されているのは感謝すべきことだと勿論分かっている。ハリーを孤独になんて絶対させないし、同じ気持ちの友が大勢、彼にはついている。

魔法の要は想像力だ。それで補えない名前の技術面をサポートしてくれる、ムーディ、最初に提案してくれたシリウスと、本部のメンバーだってついている。それに


「フレッド達がいるから」

心配にも不安にもかられるが、恐怖した経験を思い返せば勿論つらいが、
しくしく泣くだけの名前とも、フレッドジョージを突き放す意地っ張りな名前とも、もう違う。
まるで手に掛けた弟子の成長でも実感した気分で、本部でポストカードを持つムーディは少し表情を緩めた。二三話して別れを告げると、ポストカードのティースプーンが、そっとクロスの上に置かれ、名前との電話は途絶えた。


「…だそうだ」


名前の声だ!俺も話す!と顔を寄せていたフレッドジョージは、黙ってしまったものの表情から嬉しさがこぼれていて、近くに居たシリウスは笑いをこぼしながら、ホグワーツで彼らの話ばかりする名前を思い返していた。


休暇明け間もなくして、アズカバンの写真とともに新聞が告げる、特別監視下囚人 10名の脱獄。名前は新聞に目を落とし、シリウスへの濡れ衣への怒りと、生まれの世界の家族たちを案じていた。

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