Order of the Phoenix-17



"82 規則違反の活動に関し尋問を行う"

真実薬の注意喚起からそう経たないうちに、それは布告されたので、名前を初めとする皆は命拾いした気分だった。

…――

恐る恐るプレゼンを行うかのようなフレッドジョージが身を寄せ名前に見せたのは、ピンクを基調としたクラシックなデザインの箱と、薬を忍ばせたチョコレート。名前は少し考えてニヤ、と二人を見る。
名前監修のもと、それはギラギラピンクのハート型のボックスに変わり、中のチョコもすべてハート形へ改良された。


(リボンはやりすぎか?)
(ジョージ、あの女からよ?やりすぎても足りないくらいよ)
(チョコもハート型にしようぜ。"LOVE YOU"って書こう)
(やだ、何これ…)
(全部に書くぞ…)

こみ上げる笑いを堪えず隅に身を寄せる三人は、忍びの地図を共同解明したあの頃のまま、体が大きくなっただけだった。簡単に思い出し笑いができるやりとりを思い返しながら、フィルチの監視席にセッティングしたプレゼントを、フレッドジョージはきちんと名前へ最終報告も済ますべく、そのギラギラの箱のもとにやって来たフィルチを物陰から見守った。


…――

規則は98に上り詰め、尋問官親衛隊などというものができる頃には、ダンブルドア軍団の腕もかなり上達していた。休暇前、ハリーや自分達をたたえ拍手を送り合う彼らは、店に集まったあの当初の姿とは見違え、各々の腕前だけでなく、互いへの信頼も、団結力も一層強まっていた。

"ありがとう、ハリー"  "うん"
"メリークリスマス"
"またね、ハリー"

必要の部屋を後にする皆と言葉を交わす中、名前はうかがうようにハリーのほうへやってきた。

「…平気?ハリー」
「…」

恐怖に打ち勝つ準備が着々と進み、団結力も実感できていた今、気分はよかったものだから、名前の質問は少し的外れに思えた。名前は新学期開始当初から、ちょくちょく、同じ質問をハリーにしてきた。

「平気だよ」
「そう。 じゃ、また」
「…メリークリスマス、名前」

笑顔を見せて名前は扉へ向かう。名前が気に掛けていたのは、ハリーからまれに漂う、もとの彼とは全く異なる空気だった。目の奥か、表情か、心の内か、どこかがいつも名前を引っ掛からせた。だが名前も何をどうハリーに聞けばいいか分からず、"平気?"なんて声を掛けるしかできなかった。
フレッドジョージはこれからハリーへ商品のご提案に向かうところだったので、そんな心配の拭えない様子の名前のことは、認識していた。

……――

名前はその夜の出来事を、明け方にフレッドジョージから聞いて、絶句した。服も髪も汗で濡らし戸惑うハリーが、夢で見たアーサーの姿。校長室に呼ばれたほかの兄弟たち、マクゴナガル、スネイプ。
誰も"ただの夢だ"と安心させたりはせず、ハリーの言う、まるで彼自身がアーサーを攻撃し続けたというその内容を、実際に神秘部で起きていることのように皆が受けとり話が進んだという。
そしてダンブルドアが驚き黙るほど、ハリーが一度大声を上げたというのも。
まだ静かな城の隅、二人は小さく折った紙飛行機を名前のベッドへ向かわせた。ツンツン、と紙飛行機に頬を突かれ寝起きの名前は困惑したが、"おはよう!来て! F&G"と書かれた中身を見て、上着だけ羽織り静かに寮を出れば、待っていた様子の、すでに着替えた二人にすぐ会えた。
フレッドがすぐに名前の手を取ったので名前も話されることに身構え、ジョージが話して聞かせたのだった。

prev | top | next















×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -