Order of the Phoenix-14
まだ戸惑いを見せるハリーの隣、なんと切り出そうか少し迷ってハーマイオニーは立ち上がり、ぎこちなく取り仕切ってその会を始めた。
「私たちには先生が必要です。実際に闇の魔術と戦ったことのある先生が」
― なぜ?
「"なぜ"? 例のあの人が戻ったからさ」
― 話だけだろ
「校長も言ったわ」
― ハリーが言ったからだろ。証拠は?
― セドリックはどう殺されたの?
会は穏やかになど進まず少し風向きが妙になりだしたところで、ハリーは一度目を閉じて立ち上がり、それを聞きに来たなら帰れと言い放った。ハーマイオニーにやはり無謀なことだったと耳打ちしている横で、名前は溜息をつき一度周囲を見回す。早く話すべきメンバーで残りとるべき行動に出たい。
「ねぇ、やっぱり嘘を言ってるように感じるの?ハリーや彼らが成し遂げてきたことを知っているくせに?」
隠そうと努めた怒りは言葉の隅にどうしても出る。ハリーの言う通りだ、この場にそぐわない奴はさっさと帰れという色が名前の言葉に滲み出るのに、フレッドジョージは目をやり注意をはらう。
重みをもちだした中、成し遂げたことといえばと、その空気に似合わないふんわりとしたルーナの声が響き、ふたたび波はいちど落ち着いた。
「守護霊をだせるって本当?」
「 …そうよ。見たもの」
「すげぇ、ハリー。初耳だ」
「バジリスクも倒した。校長室の剣で」
「本当よ」
「ディメンターの群れも追い払った」
名前の発言を皮切りに、ハリーに親しい友人たちは次々偉業を語りだした。フレッドジョージの目にうつる名前の表情はいまだ穏やかじゃない。ビジネスパートナーのことはよく理解しており、なかなか本題に至らないこの会に若干苛立ちはじめているのは、彼らには明らかだった。
去年はあの人にも勝った、とハーマイオニーが言ったところで、ハリーは急いで止める。
「…すごいことみたいに聞こえるけど、運がよかっただけだ。…いつも何かに助けられた」
「謙遜よ」「そうじゃない。…
実際に立ち向かうのは授業と違う。授業なら失敗してもやり直せるけど、現実は…」
「……」
「、……」
「今にも自分が殺されるか、目の前で友が死ぬか、…皆には分からない」
名前はいちど呼吸を整え、脳裏に蘇った恐怖や悲しみを消すようつとめる。震える両手を落ち着かせようと握り合わせるのを、フレッドは難しい顔で見届け、口をつぐんだ。ハリーは一番大切なことを伝えた。
一瞬の判断の誤りが、命にかかわる。校長室前で人知れず捕まったあの夜、閉じ込められるのではなく、あの場で殺されてしまうことだって起こり得た。
ハリーはそんな名前のことも、セドリックの死を過らせ涙を浮かべるチョウのことも、見つめ、一度座った。
だから教えて、と、ハーマイオニーも隣の椅子に掛け真っすぐにハリーを見る。
「戦うのよ。あの人と。 ヴォルデモートと」
一層重くなる空気の中、深刻な顔の名前を隣にかけるナイジェルが一度見上げてから、ハリーへ口を開いた。
「復活したんだ…」
ハリーは頷く。ようやく、皆の心がひとつになりだした。
そうしてダンブルドア軍団のメンバーはそろい、皆署名を終え、会は幕を閉じた。