Order of the Phoenix-13



その夜、グリフィンドール寮でハーマイオニーは腹を立てていた。ラジオが報じる行方不明事件の真犯人はシリウスブラックだと報じた同じタイミングで、暖炉の火にそのシリウスの影が現れた。三人は彼に駆け寄り、暖炉のそばに座り込む。

「アンブリッジは何を教えている?純血以外を殺せと?」
「魔法を使わせない。名前の魔法のことも知ってる」
「やはりな。君たちに戦闘訓練をさせたくないんだ」

ロンは理解に苦しんだが、ハリーは本部で名前と共に新聞を見たときを思い返した。ヴォルデモート復活から目を背けるファッジの妄想は止まらず、手を打つべき方向も間違え続けている。

「大臣も復活を語ってるようなものね。…」
「皆は君に教えたがらないが状況は芳しくない。ファッジは隠したがっているが行方不明者の続出は前と同じだ。
…ヴォルデモートが動き出した」

本題に入った矢先に邪魔が入り、とるべき行動の助言を乞おうにも"今は自分で乗り切りるんだ"とだけ伝え、シリウスを映した炎は消えてしまった。

目の前を真っ暗にするかのようなハリーやロンの異なり、ハーマイオニーは、アクションの筋道を脳内で組み立て初めているような表情だった。

「防衛を学ばなきゃ。アンブリッジでなく、別の先生から」

…――

雪に染まる朝、名前はあの塔で羊皮紙を漁っていた。筒状に麻紐で留められた羊皮紙の数々。紐に付けられた紙片に"HW(と斜線)"の、走り書きがされているこれらは、名前の保護中、ムーディが部屋宛てに届けた、"ホグワーツで習えない"あれこれだった。急いで選び抜き破ったような跡の残るページの数々に、言葉数は少なくも内容は濃いメモが残っており、それはムーディの字も、もっと昔に残されたであろう字も見受けられる。名前の調べものなど子供のごっこ遊びに思えてくるほど、その筒はすべて、教えを乞う名前に十分こたえ、知識を与えた。
どことなく水と結びつく魔法が多く、溜めた水に向かって指を鳴らし続けたり、本の海編に惹かれ続けた過去の自分は正しかったと、嬉しくなったりもした。

少し眺めて、再び所定の隠し場所へそれらを戻し、モリーお手製のマフラーを綺麗に巻き直した。いつもの如く、まだ時間には余裕があったが、名前はハーマイオニーに言われた通り、ホッグズヘッドを目指し塔を後にした。


「イカれた僕に誰が教わりたがる?」
「君はガマガエル女よりマシだよ」
「…どうも」
「応援してるから」

まだ周囲に、自分で言うように"イカれた"奴を見る目を向けられるハリーは、まさか自分がその防衛の先生の立場につくなど反対で、計画したハーマイオニーらにつづく足取りが重かった。

「誰が来るの?」
「ほんの数人よ」

さびれた店なら安全かと..と漏らしたハーマイオニーの選択は正しく、人気など全くないその店は、店主のほかには、とぼとぼ歩くヤギと、奥から名前が出てきただけだった。三人は驚き、ハリーは名を呼ぶが、あとの二人のように笑顔を浮かべることはしなかった。

「…名前!」
「驚いた、もう来てたの」
「いつも通りだね 名前」
「そうよ、だから気にしないで。…平気?ハリー」

平気ではなさそうに、頷いて見せるハリーに、名前の笑顔が少し曇る。ロンがさっさと"兄貴たちは商品宣伝ばっかり.."と話を変え、続けてやってくるだろう皆を迎える準備をした。その彼らはだいぶあとにやって来て、来る前に探したのだろう名前の姿を目に入れると、すぐにさりげなくアイコンタクトを交わした。
名前は彼らとは反対の隅の、ネビルやナイジェルの座る横に立ち、前方のハリー達へ目を向けた。

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