Order of the Phoenix-11



ハリー達もまた、彼女の授業に戸惑った。賑わう広間で食事をとりつつハーマイオニーは周囲をうかがう。もちろん名前には話したんだろ?ときくロンの言う通り、ハーマイオニーはアンブリッジの手法の愚痴を、名前には先日こぼしていた。ハリーも耳を傾ける。
ヴォルデモート復活の話を嘘だ、セドリックの死は事故だと言い放ったアンブリッジが、名前のその魔法も作り話だと言い出すのは、不思議なことではなかったが、やってみせろというからやって見せたと話した名前には驚いた。

"… 何がおっしゃりたいの?…〜〜"
"〜〜 既定の方法で行って頂きたい…"

そんな広間にも、アンブリッジとマクゴナガルが上げる声はよく届いた。耳に入れた生徒たちが、何事かと広間を出ると、声を張り合う二人の姿と、階段のふもとに気まずそうに佇む名前。ハーマイオニーは名前の姿を確認したので、となりに歩み寄り、昨夜談話室で見たハリーの手と同じようになってやしないか、何気なく彼女の手の甲を見た。
名前はハーマイオニーに気付くとすぐに、さりげなく、罰則を受けた手を隠したが、反対側に立ったフレッドが気付きその手を取り、傷に傷の重なった名前の小さな手に、目を疑った。
名前は慌てて振り向き、フレッドを見上げる。

「!! 、やめて」
「、なんだよ これ…」
「平気よ」

「聞き間違いかしら?私の権限に口を出されますの?ミネルバ」
「いいえドローレス。問題は残酷なやり方です」

フレッドの手を離させようと彼の腕を押す。隣のジョージも険しい表情を見せた。ハリーは、名前もやはり同じように罰則を受けていたかと目をやり、皆いちど階段のほうの二人に集中した。不穏な雰囲気を察知した生徒が、徐々に集まっていく。
申し出あっていた二人だがやがてマクゴナガルが絶句し、アンブリッジは一歩段差をあがり、マクゴナガルへ向ける言葉を、全員へ言い聞かせるように、生徒達の中から見つけた名前を一層きつい目で見つめ、言葉を続けた。

「ホグワーツの惨状は予想以上。大臣が黙ってはいません」


騒ぎの別日、アンブリッジに賛成らしい、もしくはまた別の感情も抱いているらしいフィルチはにやにやと、規則を壁に打ち付けた。"教育法令 23 アンブリッジを高等尋問官に任命"
フレッドジョージは、高等尋問官ねぇ…とため息をつきつつ、鼻につく甘い匂いに顔を歪める名前に続いて歩いていた。名前が早歩きなのは彼らと居るのにまだまだ気が進まないからだが、フレッドジョージは、名前のあんな手を見てはなんとなく、そばに居ざるを得なかった。
名前は眩暈をこらえ、フレッドは真剣、ジョージは久しぶりにこうして並ぶ名前の顔をにこにこと見てた。

「もうあんな真似はよせよ名前」
「あの授業のときもそう思った?」
「いや全然。フレッドと俺は"さすが俺たちの名前!"って」
「あの先生の後を歩かない規定も作ってほしいもんだわ」

―パシュ!―

「「「うわ!!?」」」

アンブリッジのコロンは、名前より前でなく背後から届いていた。アンブリッジの杖により三人は三方向に弾き離され、それぞれ城の壁や柱に飛び込んだ。
そのほかにも、彼女の目にとまったすべての生徒が異性との距離、服装身だしなみ、行動、ウィーズリー製品、何から何まで取り締まられた。


とある日の図書室、名前はダンブルドアを訪ねられるルートがなんとか無いか、詩集を懸命にめくるが、ふとハリーの手が制す。

「… ハリー」

あまりに集中していたので向かいの席にハリーが来たことにまったく気づかず、名前は彼の晴れない表情をバッと見上げた。尋問で直に空気を体感したハリーと新聞で世論を知る程度の名前とでは、ことの深刻さの捉え方が違っていた。今ダンブルドアの手を、しかも魔法省関連のことで煩わせることは、避けるべきだった。
同じときフレッドジョージは、名前が罰則を受けたあの小さな花火でキャッチボールをして皆を沸かせ、盛り上がりも絶頂の瞬間に、その花火をアンブリッジにあっさり没収されていた。


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