マルコ
メンヘラ:寂しがりや
「****、好きだよい」
ちゅ、ちゅ、とマルコが後ろから抱きしめてきて髪にキスを落としていく。
「あーもう…今日のマルコは甘えんぼさんですね」
今日は敵船から宝物をたんまり奪った記念で宴をしている最中だ。その宝物の中に珍しいお酒があったようで、みんなで競いあって飲んでいた。私はおつまみやらみんなが食べた後の食器を運んだりして飲んではいなかった。ようやく席に付けたと思ったら皆もう出来上がっていて、どんちゃん騒ぎだった。どうやら、普通のお酒はまったく酔わないマルコにもそれは相当強かったようでほんのり頬が赤くなっている。端っこの方に座っていた私の後ろに周り、私を抱きかかえるようにして座った。
あ、酔ってるなとは思ったのだがマルコが皆の前でここまで大胆な事をするとは思わなかったから、少しびっくりした。皆それぞれ酔っているためか、こちらには注目されていないけれど。
「たまにはいいだろい。それに最近、****が構ってくれないのが悪いんだよい」
「ふふ、ごめんね。でもこんなマルコもたまにはいいね」
私は後ろのマルコを楽しみながら少しずつお酒を飲む。
「そうかよい。じゃあ、」
そういってより一層私を抱きしめる力を強くする。そして耳元でそっと囁く。
「いつも、****の事見てるよい。エースと話してる時も、食事している時も、お風呂上がって俺の部屋でゆっくりしてる時も、疲れて寝ている時も。ずっとずっと好きだよい。…気づいてないだろい」
「…っほんと?」
「本当、だよい。んで****は俺のこと信用しすぎだよい、いつだって俺が****を襲っちまうかわかんねぇのに、いつもにこにこして。そのうち、」
ほんとに、襲うかもしれないよい
その言葉を最後に右肩に顔を埋めるマルコ。
「マ、ルコ!お酒飲み過ぎですっ!今日はもうだめです!」
「…あれ?マルコ」
「スー…」
「嘘でしょ、このタイミングで寝るの…?」
さっきのドキドキをどうすればいいのか。まさかマルコが毎日そんな事を思っていたなんて。マルコの心の奥底を覗いた気がして、少しだけ罪悪感を感じた。
そうだよね、マルコも男性だもんね…。
でも、そう思ってはいてもまだ実行に移してないというところがマルコの優しさであり、大人だな、と思うところだ。
「…次は、お酒入ってない時に聞きたいなあ」
肩の重みと寝息を感じながら、そうぽつりと呟いた。
(マルコ、おはよう!)
(…昨日どのタイミングで俺はベッドに寝たんだよい?)
(親父さんが部屋まではこんでくれたよ!世話のやける子供ばっかりだーって)
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