お兄ちゃんが出来ました


先ほどのマルコさんの「これは現実だ」発言から、私はまだその言葉の意味を理解出来ないでいた。
ここは本当に異世界・・・マンガのワンピースの世界なのだろうか?
なぜ私がこの世界に?そんな思考が走馬灯のように駆け巡っていく。その時、急な痛みが顔を襲った。
「エースさんっイタイイタイ!!」
「あっははは!***へんな顔だなー!」
「エースやめろい!」

先ほどのマルコさんに現実を突きつけられ(というよりも気づかされ)て、皆がどう反応していいか困っていた時に、エースさんがいきなり片方の頬を抓る。さきほどからなぜかエースさんには痛めつけられてばかりいる。一応手加減はしてくれているようだが、それでも痛いのには変わらない。

「だってよー夢とかいうから覚ましてやろうと思ってさ」
「いや!マルコさんの言葉でわかりましたからっもういいですっ!」
「さっきからエースは***を触りすぎなんだよい!」
「なんだマルコも触りたいのかー?***のほっぺた見た目通りやらかいぞー」
そういってつかんだまま、ふにふにと感触を確かめられる。
「な・・・そんなこと誰もいってねぇだろうがよい!」
エースさん、さっきから正直すぎるよ。きっと、隠し事なんてできないんだろうな…。マルコさんはというと、エースさんの私の頬を触ってみろ発言から後ろむいちゃったし。呆れてるんだろうなきっと。
「ふくよかなのは自負してるのでやめてください・・・」
「太ってるって意味じゃないぞ!?褒めてるぞ?!」
「え、えと・・・ありがとうございます・・・?」
ようやくエースさんの手が私の頬を離れる。なぜかエースさんは満面の笑み。
「よし!じゃあ***は俺の妹ってことだな!」
立ち上がり、両手を腰に当て笑いながらそう宣言された。
「妹ですか?」
「おう、ここにいるクルーはみんな家族だからな!***も家族だ!白ひげ海賊団だからな!」
「・・・エースさんおいくつですか?」
「この前19になったばかりだ!」
「・・・あの、私の方が年上なんですが・・・」


「えっ」
その声はマルコさんから聞こえた。なぜかとてもびっくりした顔をしている。なんでマルコさんが驚くの?
「エースより上なのかよい?!」
「はい、成人して大分立ちますけど」
「セイジン?なんだそれ」
「えっと、私の国では20歳で大人になったと認められています」
いちおう、女の子なので具体的な年齢なごまかしておいた。
「なんだー***は年上なのか。ちっちゃいし下だとおもったのに。な?マルコ」
「いや・・・俺はそんな事はないよい。」
「マルコさんが一番驚いてた気がしますけど。」
「・・・すまん」
申し訳なさそうに頬を掻きながらそう言うマルコさん。でも元の世界でもお酒買う時、絶対身分証求められていた事を思い出す。・・・童顔ですみませんでしたね。
「あ、だから私はどちらかというとお姉さんでは」
「***が姉貴?!絶対だめだ!俺が兄貴だ!こういうのは入った順番で決まるもんだ!」
「いつからそんな決まりができたんだよい」
「俺が決めたんだ!」
やっと下が出来たぜー!と大喜びのエースさん。
周りからずりーぞエースばっかりー、と冗談めいた冷やかしが上がる。
「みんな家族なんだし、***はみんなの妹でいいだろ!」
なっ!とエースさんからの一言。
「そうと決まれば、宴だー!!飯だーー!」
そういいながら、人がたくさん集まっている中心に向かい、盛り上がっている。
おおおー!と歓声があがる。エースさんの太陽のような明るさがとても眩しい。
「飯はさっき食っただろうがよい」
マルコさんがくつくつと笑う。

「なぁ、***」
「はい?」
「こんなやつらばっかりだけど、よろしく頼むよい」

「はい!こちらこそ!お世話になります!」

(たくさんのお兄ちゃんが出来ました)







前← top→次

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -