皆で食事を


「そうだよい。ちょっと、***」
一旦これ着とけ、とマルコさんが羽織ってたジャケットを肩にかけてくれる。
「・・・食堂寒いからそれ着とくといいよい」
「あ、ありがとうございます」
ご丁寧にジャケットのボタンまで締めてくれた。

「男だらけだからな、気を付けるんだよい」
「すみません、落ちたばっかりにこんな格好になってしまって。次からちゃんとするので」
よほど厳格な船なんだと思った。
「いや、まぁそういうワケではないんだが・・・まぁいいよい」

扉の向こうからでもすでにたくさんの人がいる声がする。ちょうどお昼くらいなので、昼食中なのだろうか。扉を開けると、そこにはかなり広めの食堂が広がっており、各々食事を取っていた。

私とマルコさんが食堂に入った途端、喧噪が収まり一気に注目が集まる。

(こ、この空気はきつい・・・)
椅子とテーブルが均等に並べられている。なんだか、この空気感仕事初めて入社日当日もこんなんだったけな、と思い出す。

「おーい、さっきの海に落ちてたお嬢ちゃん、無事だったよい」
マルコさんが切り出す。

「そんで次の島まで乗せることになったから、みんな優しくしてやれよい。」
と、マルコさんがこちらを向き、背中を軽く押す。

すべてのクルーがこちらに注目している。
「あ、あの短い間ですが私、***といいま「うぉーー生きてる!すごいな!」

挨拶を途中で中断され、男の人が立ち上がりこちらに寄って来る。
上半身裸の帽子を被った若い男性。食事中だったのか、口の周りにケチャップやらマヨネーズやら食べかすがたくさんついている。

「すごいなー生きてるなんて!俺だったら死んでたな!!」
と、私の傍まで来ると、両手でほっぺたをすごい勢いで挟まれる。そのまま縦に横に顔を動かされる。

「いひゃいれす」
「こらエース!!!今***が挨拶してたところだろうがよい!」
あといきなり触んな!とマルコさんが男性に怒り、手を払ってくれた。

「だってよーマルコがこいつ抱いて医務室向かってから、近寄るなっていったしよ、もうダメなのかと思ったしさ」
「なんとか生きてましたよ!ありがとうございます」
「おうよかったな!俺はエースだ!」
「***と言います!ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」
「なんだお前かってーなー。みんなこいつ***だってよー」

となぜかエースさんが皆に私を紹介する。

「なんでお前が***を紹介するんだよい!」
「いいじゃねーか、今日もマルコはうっせーなぁ。」
目の前で2人がケンカを始めた。う、私はどうすれば・・・
「あーもう、あいつら毎日これなんだ、***ちゃん気にしないでいいよー」
とリーゼントヘアのコックさんが声をかけてくれた。
「俺はサッチだ。コックでもあるから、これからの食事はまかせてくれなー
あ、あいつらはほっておいていいから」
まだマルコさんとエースさんが言い合っている間にサッチさんが改めて私に紹介させてくれた。
クルーの皆さんはやはり全員大きくて、口々によろしくな!と言ってくれた。

紹介も終わり、やっとマルコさんとエースさんがこちらにくる。
「***、すまんよい。こいつ一番下っ端のくせにしつけがなっていないんだよい」
「うるせぇ!実力はあんだからいいんだよ」
「***の丁寧さを見習えよい。***、腹減ったろ。食事持ってくるよい」
そういってマルコさんは厨房にいく。
「じゃあ***!!俺の隣に座れ!お前の故郷の話きかせてくれよー」
「はい。エースさん、よろしくお願いします。」
「お前海軍でもそんな丁寧じゃねーぞ・・・。俺の方が年下なんだから、適当でいいのによ」
「あー・・・慣れたら、徐々にで、がんばります・・・」
「頑張るっておもしろいな!珍しい性格してんなー。そうだまだメシ途中だった!」
そういって目の前にある大皿料理を次次と食べていく。もしかしなくても、これ全部エースさんの分だったりするんだろうか・・・。

にぎやかな食堂の雰囲気で、みんなのやさしさに触れ、ほっとした自分がいた。

(お前んとこのうまい料理はなんだ?)
(え?えっと・・・寿司ですかね?)






前← top→次

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -