やっと会えた


「おーい、***!この電話かわってくれよー」
「はーい。今行きますっ」
先日の電話の騒動があってから、電話だけでなく、様々な雑用の仕事が回ってくるようになった。どうやら電話の時の対応を聞いていたようで、仕事をいろんな人から頼まれるようになった。エースに聞いたところ、「俺が***は仕事出来るって言って回ってる!よかったな!」とのことらしい。エースなりに気を遣ってくれてるんだとは思うけど、もう本当に言い回ってるに近くて、いろんな人に雑用を頼まれるようになった。
(エースの顔の広さはすごいなぁ)
でもエースのおかげで雑用を任せられるようになり、いろんな人とお話しすることが出来ているため、とてもありがたい。マルコさんやエースはすぐに信じてくれたけど、やっぱり素性が知れない奴は信頼出来ないと思うから。だから、例え雑用でもみんなとコミュニケーションを取るようには心がけている。
「あ!イゾウさん!この前の資料まとめておきました
!おそくなってすみません」
「あぁ***。次の島に着くまででいいっていったのに、仕事がはえーな。」
「私こういうの早くしないと溜まっちゃうんですよ〜」
「へーへー。溜め込んですみませんでしたね」
「いえっ!次から早く頼んでくれたら嬉しいです!」
普段はクルーからのあれこれだが、たまにイゾウさんなどの隊長からも声がかかることがある。
「ありがとうな、助かった。そういや、船に大分慣れたみたいでよかったな。最初のころから笑うようになったんじゃねーの。」
ここに来て、一週間はたっただろうか。最初の数日はどうなることかとは思ったけど。
「そうですね…マルコさんと皆さんが優しいおかげです!」
「そりゃーよかったな。まぁ、正直***がいて助かってる。隊毎に仕事はしてんだけど、戦うばっかりじゃ生活できねーからな」
「いえ、こちらこそお役にたてて嬉しいです。」
マンガやアニメの中では大体は戦いのシーンだけど、生活すると、戦いだけじゃ生きていけないよな、ちゃんと生きてるんだなと思った。どの世界にも、日常は大変なものだ。
「じゃあこれありがとな。あ、マルコにあったらうちの隊の怪我人のことで聞きたいことがあるから、会ったら頼まれてくれねぇか。」
「わかりましたー!」
イゾウさんに言付けを頼まれ、別のクルーから頼まれてた雑用に戻る。
そういえば、電話の騒動の日から仕事を頼まれるようになってマルコさんとは会えていない。あの時、抱きしめられたのもあって、顔を見ると少し気まずい。
ご飯の時は見るんだけど、マルコさんご飯食べるの早くて顔を見るだけで挨拶も出来なくて、なかなかタイミングが合わなかった。
(これ終わったら一旦仕事落ち着くし、マルコさんに会いに行こうかな)
部屋に戻り、歩いている時に渡された資料やら、繕い物を置く。
初めの日はマルコさんの部屋に泊まったがあの後部屋を一室貸してもらってる。大部屋でもよかったのだが、「男と雑魚寝なんてさせるわけねぇだろうよい」の一言で、資料室を貸してもらい、綺麗にして使っている。資料室といっても、大体はマルコさんの医学書や歴史書が部屋に入りきれない分を置いていたようなので、この部屋もマルコさんの部屋になりそうだけど…。

(マルコさんのジャケット、返すタイミングなかったから、返さなきゃ。)
ジャケットをもってマルコさんの部屋に向かう。

コンコン
「マルコさん、***です。」
扉の向こうから入れよい、と返事が聞こえる。
「失礼しまーす。」
扉を開けると、机に座ってるマルコさん。
「今いいですか?」
「おう***、久しぶりだよい。このところ俺の仕事が忙しくて、全然会えてなかったよい。」
「ほんと、お久しぶりですねー。イゾウさんからの伝言なんですけど、さっきの怪我人の状況を聞きたいそうです。」
「あー、イゾウが訓練中に怪我させたやつか。大したことなかったのに」
「え、イゾウさんが怪我させたんですか…そんなこと一言も。」
「なんか力が入っちまったらしいよい。まぁ自分の隊員を怪我させたから恥ずかしかったんだろい。」
とくつくつ笑う。マルコさんと久しぶりに会うのが、こんなにもほっとするなんて。やはり一番最初に優しく接してくれたからだろうか。
「ふふ、そうですね。あとこれ、ジャケット返します。なんか大分借りちゃってました」
「あぁ、気にしなくていいよい。…わざわざ洗ってくれたのかよい?」
はい。もう、マルコさんのいい香り匂い無くなっちゃいましたけど…」
「…***は、その…なんだ。」
「はい?」
「…他の奴らにも、そんな感じで話したりしてるのかよい」
「他の人…ですか?」
「そうだよい。最近、いろんな奴と喋ってるだろうよい。」
「うーん、他の人は雑用を頼む便利な家政婦くらいにしか思っていないと思いますよ…。マルコさん以外の部屋に入ったことないですし。マルコさんと話してる時が、一番ほっとして安心話せます。」
そういった途端、マルコさんが笑顔になる。
「…そうかよい!じゃあ、今日も冷えるから別のジャケット貸すよい!」
「え、いや大丈夫、」
「いいから医者のいうことは聞くもんだよい。あと、仕事中はそれ着といたら、雑用減ると思うよい。」
「なんでですか?」
「一番俺がきてるジャケットだよい、頼みにくくなるだろうよい」
「な、なるほど。マルコさん効果ですね!」
「そうだよい。あと***、この部屋用事なくてもいつでもきていいよい。遠慮してただろい」
「あ、ありがとうございます。マルコさんの部屋で作業とかしてもいいですか」
「よい、よい。楽しみにまってるよい。」
まだまだ、この船での生活は始まったばかり。

(あ、そろそろ親父の体調戻ったから挨拶にいくよい)
(親父さん、大きくて優しい酒好きで周りにたくさん女性がいるって聞きました)
(合ってるけど、大分語弊があるよい)




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