私に仕事を1


とても長い夢を見た。いつも通り仕事に行って、いつも通りのきつい仕事をこなして、家に帰る日々。毎日その繰り返し。毎日やることだったから、つまらないとは特に思ってなくて、あぁご飯たべたら洗濯取り込まなきゃな。明日は雨だっけ。とかそういう感情だけ。だからこの世界で起きた時、一瞬ここがどこだかわからなかった。しっかりしたベッドに横たわっており、上にはタオルケットがかけられていた。
「あれ、ここ・・・」
「お、起きたかよい」
「?!」
ベッドの横から急に男の人の声がかかり、驚いた。
「***?」
「あっ・・・マルコ、さん」
そうだ。先ほど見ていた日常が夢で、現実は夢のような出来事が起こっているんだった。おそらく、驚いている私を見て心配してくれているのだろう。
「大丈夫かよい?具合悪くなったとかじゃないか?」
「大丈夫です。少し、ここがどこかわからなくて混乱しちゃって。ってあれ?あたしそっちのソファに寝てたような」
「あぁ、かわいそうだったから俺がベッドまで運んだんだよい。遠慮するこたぁないのに」
運んだってまじですか。いわゆるお姫様だっことかいうやつですか・・・。アニメとかマンガとかではわりと見るけど、人って意外と重いのに。だって米俵でさえ30キロという子供くらいに体重なのに、私10秒も持てないし。
「重かったでしょう?!放置してくれてていいのに!」
「さすがに女の子をソファにはそのままはできねぇよい。それに、***は軽いよい」
そういってほほ笑む。
たしかにマルコさんの体付きを見ると私くらいの体重は平気なのかとも思うが、やはり恥ずかしいのには変わりない。
「ありがとうございます・・・」
「いいよい、もう少し寝とくかい?」
「あ、もう起きました」
マルコさんはベッド横の机に座り、ライトをつけて作業していた。起きた時には乱雑だった書類が整理されている。
「・・・あの今何時ですか?」
「んー、夕飯が終わって、大体のやつが寝る時間だよい」
(寝すぎた!!)
昼寝る時に差し込んでいた光もなく、日はすっかり暮れているようだった。まさかそんな時間まで寝るとは・・・。
「すすすみません!!マルコさんの睡眠を邪魔しちゃって!ベッド開けるので!」
「気にしなくていいよい。まだ仕事残っているし、***も疲れてたんだろ」
「そう・・・なんでしょうか」
「攫われて海に落ちて、知らないところで風呂入ったりご飯食べたり。緊張もしてたんだろうよい」
「そうでしょうか・・・」
「不安なのはわかるよい。だから、俺らがなんとかするから心配すんな」
書類に目を通したまま、マルコさんがはっきりそう言ってくれる。
「ありがとうございます、マルコさん。あ、明日は早起きしますね。仕事は何をすればいいしょうか」
「そうだねい・・・***は書類仕事は得意かよい?」
そういってマルコさんは持っていた書類を渡す。そこには食品の金額や日用品のリスト、そういった物が書かれていた。
「昼間見てわかっただろうけど、俺たちは人数が多いわりにはケンカや戦い、力仕事しかできないやつらばかりなんだよい。だが、食料や日用品は管理作業が必要なんだよい。今は隊長ごとに管理してるんだが、追い付かなくてよい。手伝ってもらうと助かる。」
書類を見ると、そこまで複雑な計算はないようだ。これなら出来そう。
「わかりました!任せてください!」
「じゃあ明日から頼むよい」

(私に仕事を)
(でも、もしかして手書き・・・?)









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