「…あら?早苗ちゃん…」
「…お久しぶりです、カナエさん」
夕方、出迎えた早苗の様子にカナエは驚きつつも挨拶を返した。
カナエが今回訪れたのは、鬼殺隊隊士の中でも最高峰と認められた"柱"という位に就任し、刀剣に新しく銘を刻むのだという。
カナエの刀匠は鉄珍であった。よって、暫くカナエは彼の屋敷内にある早苗の隣室に過ごす事になった。
「最後に見た時より元気になっていて、びっくりしたわ。しかも髪を短くしちゃって…」
「えっーと…まあ、いろいろありまして…」
「いろいろってなぁに?知りたいなぁ」
数ヶ月前に、自邸で過ごしていた時の雰囲気と人が変わったように思える早苗の様子にカナエは喜ばしい事と顔を綻ばせる。
「…刀鍛冶に興味を持ちまして。
最初は女だからしてはいけないと言われてましたけど、理解はある刀匠の元で働かせてもらっています。
その人に身体つきが男っぽいって言われたので、思い切ってなりきってみました。
…何だかこっちの方が気楽でいいです」
「…そっかぁ…。早苗ちゃんにもいろいろあったんだねぇ。
---------頑張ったね、偉い偉い」
カナエは手を伸ばし、早苗の頭を撫でる。
突然の事に早苗は惚けてしまったが、次に顔を赤らめる。
「…カナエさん」
「あっごめんなさい…!嫌だった?」
「い、嫌じゃないんですけど…恥ずかしいです…。久しぶりにこんな風に人と接するので…」
「…そっかぁ…じゃあ、今度は抱きしめちゃお!」
自由気まま、天真爛漫なカナエに振り回される事を理解した早苗だった。
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