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堕ちる。堕ちる。
堕ちて去く。

深い深い闇の中へと堕ちて往く。

そこはまるで光の届かない深海のような闇。
己の掌さえも見えぬような黒の世界。

全身に痛みが走る。
呼吸すらもままならない。
やがてその身は闇に溶け込んで、意識だけが堕ちて逝く。



「愛されたいと願って何が悪いの」



声が聞こえる。



「こんな場所、もう嫌だ…」



嗚咽が響く。
真っ暗な闇の中に屍が積み上がっている。





ー また、壊さなきゃ ー





牢獄の中で膝を抱え涙を流す少女が息絶える。
その身から溢れ出す鮮血は深い黒となり、闇を広げていく。

新たな少女が膝を抱え、檻の中に囚われている。
恨みを増し。哀しみを増し。歪な顔で、泣き叫ぶ。



「何度繰り返すのもうやめて!!!!!」



ドロリとした負の感情が四肢を搦めとる。
黒に浮かぶ病的なまでの白い肌は血に塗れ、痛みに耐える瞳は憎しみの炎に揺らいでいる。
止むことのない怨嗟は刃となり、容赦なく少女を傷付けていく。

此処は地獄だ。
積み重ねる罪と過ちが渦巻く痛みの世界だ。



ー 全て捨て切れればいいのに ー



感情など。
しかし、果たしてそれは生きていると言えるのだろうか。

嘆く意識はどこか遠い場所から自分自身を見下ろしている。
傷だらけで醜く、哀れな己の姿を。


守りたい、救いたいと焦がれる思いは罪なのだろうか。
どこからが過ちで、何が正しいのだろうか。

繰り返す自問に答えは出ず、今日も過ちを重ねながら生きるのだろう。

地獄ならば見飽きているのに。
無駄な努力と思いながら、繰り返す。

痛みを知り、憎しみを知り、絶望を知るからこそ繰り返す。
自由を捨て、幸福を捨て、孤独の世界を生きていく。



ー 私はこんなにも醜くて弱い ー




凝り固まった執念は己の心を雁字搦めに縛り付け、そこにある優しさに気付かない。
目を閉じ耳を塞ぎ心を殺し、償い続ける。

苦しみも悲しみも痛みも憎しみも絶望も終わるようにと。
引き返せない茨の道なら、たとえ誤りであろうとも進むしかない。

命の灯火は、あと僅か。






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