「…まったく、そんなに怯えられたらやる気が失せるだろ」
ポンポンと頭を叩かれながら言われた台詞には、優しさが含まれているような雰囲気だった。
「え…?」
「仕事が入った」
参った、とでも言うように両手をあげ、肩を竦めるダンテ。
(助かったんだ)
ホッと一息をつく。
なんとか無理強いをさせられずには済んだが、次いつ襲われるかが心配になる。
「今夜は覚悟しろよ」
仕事に行く前に囁かれた台詞。
どうやら、今日中に終わる仕事らしいのだが、それよりも、覚悟しろと言われたくらいなのだ。
無事でいられるはずがない。
――時期が延びただけで、何一つ問題が解決していない…!
それに気づいた時には、ダンテは既に仕事に向かっていた。
「…逃げたい」
がくりと肩を落とし、布団の中で独り駄々を捏ねていた。
話を聞かない男3