質素な部屋にはおよそ不釣り合いなふかふかのベッドへと下ろされ、アスベルは顔を強張らせる。

「ヤれとは言ってないわよ」

ジロッとダンテを睨み上げるが、ダンテは笑いながら

「‘勝手にシろ’っつったのはアスベルだろ?」

と、言った。

「ニュアンスが違う!それに、勝手にしろの意味は妄想を勝手にしろってことよ」
「わかった、わかった、だから大人しくしてろ」

はいはい、とアスベルの言葉を聞き流すと、アスベルの首筋に口付けを落とす。

「わかってないでしょ!」

暴れながら抗議すると、胸倉を掴まれ、

「大人しくしねぇと…、わかってるだろ?」

低い声で囁かれ、ビクリと全身が強張る。

「や、だ…」
「大人しくしておけば、痛い事はしねぇから…な?」

今度は極めて優しい声で言うが、アスベルの恐怖心は消える事はなかった。


やるなら、早く終わって欲しい。


アスベルはそう祈りながら、身体に伸ばされるダンテの手を見つめていた。




――だめ、本当にやられる…。



話を聞かない男2

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