「どうしたアスベル、早くやれよ」



――なんて事言われても、分かりました、なんて言って出来るわけないじゃない。



目の前でニヤニヤと笑いながら自分を見下ろしている男を睨み付けながら、そんな事を思っていた。
何を早くやれと言われているのかというと、自慰。
所謂一人Hなんて言われているものだ。

何故、こんな経緯になったかは分からない。
と、言うのも、仕事を終えたダンテが帰宅してくるなり、

「俺の前で自慰をしろ」

だなんて言ってきたのだ。
全く意味が分からない。
呆気にとられていると、身体を抱えられダンテの部屋へと連れていかれ、今に至る。



「…なんでしなくちゃいけないの」
「ヤりてぇんだけど、ヤる気が起きねぇ。つまり、ヤる気にさせろってことだ」
「私はやりたくない」
「拒否は認めないからな」

この目の前にいる我が儘なオヤジを殴りたくなったが、仕返しが怖い。
だが、やれと言われてもそう簡単に出来る筈がない。
恥ずかし過ぎる。



自分主義な男からの命令

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