「さて、青年。さっさとアルエちゃんから離れてくんない?」

不気味なほどの満面の笑みを浮かべた仮面の裏側でどれほどの怒りを剥き出しにしているだろうか。
本来ならば当の本人しかわからないはずだが、端から見てもどす黒いオーラを纏っているのが手にとるようにわかるのだ。

「おっかねーの。まあ…だからといって退く訳にもいかないんでね」

一方のユーリもそれに負けないくらいの満面の笑みを無理矢理張り付けている。

「あ、の…喧嘩は…」

どす黒いオーラの丁度ど真ん中に座っているアルエはおろおろと慌てるばかりだ。


――どうしよう。何かわからないけど、二人とも凄く怒ってます…。


「あの、二人とも…」
「あ?」
「…何?」
「じゃんけんしませんか?」
「は?」

アルエの突拍子もない提案に二人は訝しげにアルエを見下ろす。

「勝った人の言うことを聞くってのはどうですか?」
「…なるほど、それなら文句はないよな。なぁ、おっさん」
「しゃーないの」
「決まりですね!」

一際嬉しそうにしているアルエが合図を出す。

「じゃーんけん…」



取り合いっこ3

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