――ああ、そういえば。アルエってじゃんけんが強いというか、勝負運がついているんだっけな。


差し出された手を見つめながらユーリがごちる。
早々に勝負を決してしまったアルエ一人が嬉しそうに笑った。

「じゃ、言うこと聞いてもらいますからね」

一体アルエは何を言い出すだろうか。
変なことは言わないとは思うが。


――おっさんみたいに。
――青年みたいに。


「何かわかりませんが、二人とも仲直りしてくださいね」
「…はい?」
「喧嘩は良くないです」


――ああ、やはりアルエはアルエだった。


別に喧嘩をしたつもりもなく、ただ単に嫉妬を剥き出しにさせた醜い小競り合いをしていただけだというのに。
アルエの目には喧嘩に見えていたようだ。



「アルエには敵わねぇな」

呆れたような笑みを浮かべたユーリが口を開く。

「悪かったよ、おっさん。アルエもな」
「良かった。これで仲直り出来ましたね!」


――えぇ…なんだか釈然としないんだけど。青年、それで良いの…?


一人取り残された気分のレイヴンが二人を見遣るが、ユーリはもう気にした様子もなく、アルエはいつも通りだ。


――納得いかないわ…。



取り合いっこ4

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