「…今はそれどころではないな」
「クラース?」
クラースの独り言に訝しげに顔を覗き込む。
「何でもない」
ぽんぽんとアリシアの頭を撫でると、クラースは軽く笑んだ。
クラースの事を気にかけたら、毎度こうして頭を撫でられ、まるで子どもをあしらうような態度をされていた。
今日も例外ではないらしい。
「子ども扱いして…」
「私の一回り近くも年下だろう?それに、アリシアに心配されるほど柔じゃないんでね」
いつものようにからかう。
普段であれば、アリシアは頬を膨らませ、そっぽを向くだけで終わるのだが。
「年下だからって…子どもだと思ったら大間違いなんだから」
言うが早いか、アリシアはクラースに抱きつき、口元へキスをした。
クラースは一瞬何が起きたのか解らず、暫し呆然としていたが、漸くアリシアからキスをされたのだと理解すると、溜め息をつき、自分からアリシアを引き剥がした。
「そういうところが子どもだと言うんだ」
「…どういう事?」
子ども扱い2