- ナノ -
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山中の洞窟に、ひんやり冷たい空気を纏った氷竜がぽつんと座っている。ただここにいるだけでいいって言われてさ。彼自身も少々戸惑っているように、頭を掻いて笑った。
氷竜のまわりには、大小様々な氷が保管してあった。なるほど、ここは人間たちの氷室というわけだな。竜は呟き、頷く。ひむろ? 氷ならいつでも俺が作ってやるのにな。氷竜はあまり合点のいかぬ顔だ。水や場所が大事なことがあるんだよ、と竜は言った。
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