- ナノ -


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 翼でぱたぱたと跳ねてはしゃぐ仔竜を背中で遊ばせながら、だいぶ大きくなったな、と竜は微笑む。親の竜たちが戻ってくるまでもう少しといったところだ。無邪気にかけまわる仔竜とすごす時間はあっというまである。
 いつか、自分のいなくなった後の世界のことも、この子は見ていくのだろう。竜はそう思っていた。少し不思議で、頼もしい気持ちと共に。


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