- ナノ -


601

 水浴びなら自分でするからいい、と言う竜をよそに、彼は竜に桶の水をあけ、手際よくブラシをかけていく。いつも乗せてくれるお礼だよ。彼はそう言ってにっこり笑った。
 夏の日差しに、水滴と泡がきらきらと輝く。観念して身を任せた竜は、たまには悪くないか、と呟いた。目を細めて。


[