- ナノ -


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 いつもなら竜は、どんなに遅くとも、日が山向こうに隠れる前にこの森に帰ってきていた。今日は影も形もない。白竜が心配していると、星々が数多輝き出すころにようやく竜は戻ってきた。
 竜が森を空ける時間は確実に長くなっている。そのうち竜がいなくなってしまう気がして、白竜は自分でも戸惑うほどに心細さを覚えた。


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