- ナノ -
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朝や昼に星は見えないっていうけどさ、そんなことないよ。明るい間は、海が星を掬い取ってくれてるから。
その彼女の言葉が思い出される。太陽に照らされた海は、大小様々な無数の星を抱いていた。まるで青く、深く、どこまでも広がる揺籃のように。
竜は海の上を飛びながら、その景色を心の中に大切に仕舞った。
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