- ナノ -


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 人の子は、しゃがみこんでじっと地面を見ていた。竜も首を低くして、その視線の先を覗く。蝶が動かなくなっていた。羽は古びた紙切れのようになり、ぼろぼろに千切れかかっている。もう飛ばないの、と人の子が呟くように言った。そうだな、と竜は短く答えた。
 吹き過ぎた風が、蝶の羽を散らしていった。


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