- ナノ -


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 それ、できたぞ、と男が汗を拭って声を上げる。そこには巨大な木の椅子があった。人間なら十人は一緒に座れるかもしれない。男はにこりと竜に笑いかける。ちょっと座ってみたそうにしてたからな。きみ用にも椅子を作ってみたんだぜ。とびきり頑丈にな。
 乗ってみると、不思議なことにしっくりと居心地がよかった。あたたかさも伝わってくる。竜が礼を言うと、男は満足そうに頷いた。


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