- ナノ -


558
 
 ねえ、君の他に竜はいないの、と少女は言った。今はいない、と竜。わたしは、人のことを見ていたくてこの地に残った。だが情けないことに、体もうまく動かなくなってしまったのだ。
 じゃあ、私が教えるよ。今の人の暮らし。人のことも。彼女は屈託なく笑った。


[