- ナノ -


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 眠る竜に、人の子がふたり、そっと近づいた。顔を見合わせて、にししと笑う。そして、手に持っていたたくさんの粒を竜にくっつけた。いや、くっつけようとした。
 粒は全て地面に落ちた。ああ、と残念そうな子どもたち。竜が目を覚ましてふたりを見た。ひっつき虫がきかないなんてずるいや、と、オナモミの実を拾いながら子どもたちは頬を膨らませた。


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