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- ナノ -


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 見ているからこそ見えていないものがあるのだと竜は知った。空はいつもそこにあるが、問われて今朝の空の色や姿を、すぐに語れる者は少ない。空に飛びこみ、ひとつでも多く、その表情を胸に留めたいと思った。竜ははばたいた。見ているものを、ただ、心で見るために。


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