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- ナノ -


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 わたしが怖くないのか、と竜は言った、わたしの爪のひと裂き、牙のひと噛みで、おまえは致命傷を負うぞ。それでも、と青年はこたえる、俺はあんたの鱗をとって帰る。竜の鱗が人の万病を治すなど迷信だとしても? 竜の言葉に、青年はにやりと笑った。ああ、病気が治ると信じて、妹が希望を持つ限り。
 そうして竜の、首の鱗の一片は、他の鱗よりずいぶん新しい。竜が自ら引きちぎって、人に渡した、その部分なのである。


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