13
- ナノ -


13

 目にもさやかな緑の葉が、頬を染めるように色づき、やがて燃えたつ赤となる。竜はこの季節になると、心の奥にひとすじの風が吹き過ぎるようなかなしみを覚えた。しかしそれは決して、遠ざけてしまいたいようなものではなかった。
 昔、根元のところで泣いていた人の子のために、ちいさな竜に生まれ変わった紅葉の精霊がいたそうだ。その人の子は、その紅葉の竜は、息災であろうか。冷たくなった風に、竜は彼らのいまを思う。


[ ]