- ナノ -


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 どんなときも、いつまでも、いっしょにいようね。その約束が守られることはなかった。戦火から逃れるために竜は西の彼方へ渡る。人の子がその場所について行くことはかなわない。しかしこの地に残れば、竜の命の保証はなかった。
 夕日が照らし、人の子の涙が橙色に染まっていた。竜の目からも同じものが流れる。きらきらと輝いて、地面に落ちた。


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