- ナノ -


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 少年は秋晴れの空に向かって指笛を吹いた。澄み切った音が青空に高々と響く。途端、竜が現れた。指笛は竜への合図だった。竜はその音色を聞き分け、聞き逃さない。
 少年もまた、竜の遠吠えをよく聞いていた。離れていても、彼と竜はどこか心の深いところで繋がっている。


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