「良い匂いですね」 「うん、もうちょっと待ってね。いま年越し蕎麦を作ってるから。明日は皆で御節食べようね」 「はい。本格的な御節料理を食べるのは初めてなので楽しみです。量も種類も随分沢山ありますね」 「でも、犬ちゃんがいるから直ぐに無くなりそうだなぁ」 「犬が独り占めしようとしたら僕が叱りますから大丈夫ですよ。それより、今年は晴れ着は着ないのですか?」 「うん、今年は年始の挨拶に行かないから別にいいかなと思って」 「僕は好きですよ、君の着物姿。大人っぽい色気があって、すごく…ハアハアします」 「……………」 「あ、間違えました。ドキドキします」 「そ、そう…」 「着ないなんて勿体無い。僕に手伝えることがあれば協力しますから今年も着ませんか?」 「ありがとう。帯をくるくるして悪代官ごっこしたり姫始めに使ったりしなければ着てもいいよ」 「なんでですか!?やりましょうよ!!!!!」 「(やっぱり…)」 |