今日のおやつはホットケーキ。
千種がはしゃぐ犬を窘めて席につかせる間、なまえはクロームと一緒にホットケーキの皿を各自の前に配って回った。
フランはちゃっかり先に座って待っている。

「おや、シロップだけではないんですね」

「うん。好きなトッピングで食べて貰おうと思って」

ホットケーキはプレーンなものだが、皆好みが違うため、シロップや蜂蜜の他に生クリームやカットしたフルーツ、チョコレートソースなどを用意したのだった。

「骸はチョコレート?」

「ええ、お願いします」

「せっかくだから全部かけて食べるびょん!!」

「さすがにそれはマズイと思いますよ、犬ニーサン」

フランの突っ込みもお構いなしに、犬は既に全部盛りで食べようとしている。
クロームはじっとカットフルーツが入った器を見つめていた。

「…パイナップル…」

「うん。美味しいよ。クロームも食べる?」

隻眼の少女はふるふると首を横に振った。

「口の中がかゆくなるから…」

「じゃあ蜂蜜にする?」

今度はこっくり頷いた彼女に蜂蜜の瓶を渡してやり、自分の分のホットケーキにはたっぷりの生クリームと苺を盛り付ける。
そして勿論パイナップルも。
その様子を骸は微妙な表情で眺めていた。

「フルーツは分かりますが、よりによってその果物ですか」

「だって……大好きなんだもん」

「何故僕の頭を見ながら言うんです」

「うふふ…」

「師匠ー、どこかのバカップルのせいで食べる前から胸焼けしてるんですけどー」

「黙りなさい、おチビ」



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