今朝、ポストに赤屍さんからの手紙が入っていた。
なんでも大事な話があるから来て欲しいということで、三万円と一緒にご丁寧に地図まで入っていた。

お金を返すべく指定された場所に行ってみると、廃墟があった。二階建てのコンクリート製の建物で、ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったからあまり近付きたくなかったが、まだ外は明るかったから勇気を出して建物の中に入ってみた。
一階は瓦礫ばかりで進めず、二階に上がることにした。
すると、並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。近づいて確認してみると、扉の前に

『私はこの先の部屋にいますよ』

と書かれていた。
私は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。

歩いて行くと分かれ道に突き当たって、またもや壁に

『私は左にいますよ』

と書いてあった。

少し怖くなったけど、何としてもお金は返さなければならない。借りを作るわけにはいかない。私はそのまま左に進むことにした。

すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に

『頭は左、身体は右』

と書いてあった。
これを見た瞬間、半狂乱になって逃げだしたくなったが、何とか踏みとどまって勇気を出して右の部屋に行くことにした。

部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に

『私の身体はこの下にあります』

と書いてあった。

下を見ると

『左から私の頭が来ていますよ。後ろを見ないで下さいね』





「という、有名な怪談の真似をして遊んでみたら、なまえさんが怯えて泣きじゃくってしまって宥めるのが大変でした」

「そりゃそうだろ」

「俺も聞いただけで怖くて漏らしそうになったのです……」

「頼むからトイレ行ってくれ、銀次」


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