「夏油先生の色っぽさって、人妻とか未亡人の色気って感じがしない?」

「すじこ……」

棘くん、いまドン引きしたでしょ。おにぎりの具じゃなくてもわかる。顔を見ればわかるよ。
確かに、私も自分がおかしなことを言っている自覚はある。あるけど、ほんとにそう感じてしまったのだから仕方がない。

「あと、五条先生はルックスも最強」

「おかかっ」

「え、中身を見ろって?私はあの性格も含めて五条先生のこと好きだけどなあ。夏油先生も五条先生もカッコいいよね」

「おかかっ」

「え、悪いことは言わないからあの二人だけはやめとけって?」

「しゃけしゃけ」

「心配してくれてるんだね。ありがとう。棘くんのことも大好きだよ」

「ツナマヨ」

「あはは、棘も青春してるねえ」

突然にゅっと現れた五条先生を、私と棘くんは仰け反るようにして避けた。だって、急に顔近付けてくるんだもん。目隠しはしてるけど、先生のすっと通った高い鼻筋や艶々ぷるぷるの唇が目の前に現れたからドキッとしちゃった。

「聞こえてたよ。カッコいいって言われちゃった」

「私は人妻で未亡人らしいね」

「夏油先生まで……」

やっぱり二人が揃うと圧迫感があるというか、存在感が凄い。巨人族に挟まれた小人の気分だ。棘くんが精一杯胸を張って立ちはだかってくれているけど、先生達はどこ吹く風といった様子で余裕の笑みを浮かべている。

「はいはい、棘は邪魔しないでねー」

「おかかっ明太子!」

「まだまだ青いね。それじゃ私達に取られてしまうよ」

先生達が大人げない。棘くんをからかって遊んでいる。いや、そういう人達なんだけども。

「君はこっち」

「あっ」

「お前には誰が誰の人妻になるのか、しっかりわからせてあげないとね」

「そうそう、じっくりたっぷりとね」


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